有効求人倍率は求人数の増減と求職者の増減で決まる。一般的に人手不足の職業は、求人が増える一方、就職している労働者が多いため求職者は減る傾向にある。しかし、求人も減っているが、それ以上に求職者が減って「職業離れ」が進んでいる場合もある。では具体的に職業ごとにその動向について見ていこう。
職業別の有効求人倍率のデータは常用者(雇用期間の定めがないか、期間が4カ月以上)でパートタイムは除いた数字となっている。また、職業別の数字は季節調整前の原数値のみしかないため、報道等で発表されている季節調整済みの数字と乖離がある。職業は厚生労働省の職業分類表に基づいている。
結果は月次で発表されているが、月ごとの変動を考慮し、年度ベースの数値を採用し、過去との比較を見るために2年前の有効求人倍率の数値と、有効求人数、有効求職者数の実数および2年間比較を表示している。
警備員、大工、美容師などが人手不足
大分類で、高い求人倍率となっているのが、「保安の職業」と「建設・採掘の職業」だ。保安の職業(4.93倍)は警察官や自衛官、消防署員などが該当するが、多くが警備員だ。かなり深刻な人手不足の状況となっていることがわかる。建設関係の職業も東京オリンピックや都市再開発など、建設案件が多く人手が足りない状況だ。7.23倍となっている建設躯体工事の職業は、とび工や鉄筋工、取り壊し作業員などが該当する。大工や内装工などの建設の職業(3.08倍)、土木の職業(2.93倍)などもそれぞれ高い値となっている。
「サービスの職業」も軒並み高い。中でも理容師や美容師、クリーニング職などの生活衛生サービスの職業(2.93倍)は3倍近い数字となっている。飲食業界やホテル業界の職業が該当する、飲食物調理の職業(2.20倍)と接客・給仕の職業(2.28倍)も高い数字で、2年前よりもかなり高くなっている。飲食業はかねてから人手不足が叫ばれているが、ホテル業も外国人訪日客の拡大で稼働率も高まっており、そうした結果が求人倍率にも現れているといえる。施設介護員や訪問介護職といった介護サービスの職業も2倍を超えている。
このほか、トラック運転手やバス、タクシーの運転手が該当する自動車運転の職業(2.05倍)も高い数字となっている。
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