「専門的・技術的職業」は職業によってバラつきがある。医師、歯科医師、獣医師、薬剤師(7.17倍)は求職がかなり少なく求人過多の状況が続いている。医療関係の仕事は比較的高く、保健師、助産師、看護師が2.76倍、理学療法士など医療技術者が2.91倍となっている。IoTやAIといった技術導入が進む中、プログラマーやシステム設計技術者といった情報処理・通信技術者(2.21倍)の求人数がここ1~2年上昇している。同様に開発技術者(1.88倍)も2倍近い。一方で、生産現場で活躍する製造技術者(0.48倍)や美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者(0.39倍)は1倍を切る水準となっている。
「生産工程の職業」は、修理工といった機械整備・修理の職業(2.12倍)や工作機械オペレーターなど金属材料製造、金属加工、金属溶接・溶断の職業(1.64倍)が高い値になっているが、機械組立の職業(0.45倍)や生産設備制御・監視の職業(0.56~0.97倍)は1倍を割り込む。
機械代替が進む職業は求人減
大分類の中で、求人倍率が一番低いのが「事務的職業」だ。中でも年間累計400万人近い求職がある一般事務の職業は、0.24倍と低水準。2年前から増加しているとはいえ、求人はかなり少ない。経理や銀行の窓口スタッフが該当する会計事務の職業(0.49倍)や営業事務などの営業・販売関連事務の職業(0.61倍)も1倍を割り込んでいる。
こうした数字の結果について、みずほ総合研究所調査本部の上里啓氏は、「専門的な技術が必要な職業の求人倍率が全般的に高い一方、IT化や機械による労働代替が進めやすいて職業の求人倍率は低くなっている」と語る。オフィスの現場で、作業の機械化や効率化がかなり進んでおり、事務職を求める動きが少なくなっているようだ。
有効求人倍率は景気の動向によって増減するが、職業別の大きな傾向はここ数年変わらない。自分が進みたい職業がどういった状況かを把握したうえで、これからの就職活動に取り組んでも損はないだろう。
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