LNG輸出に向けて、本格的に動き出した米国 経済だけでなく、安全保障面でもプラス効果

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輸出へ向けDOEがライセンス発行準備

同氏が指名されたことで、米国が自由貿易協定(FTA)を締結していない国に対して、LNG輸出ライセンスを発行し始める諸条件が整ってきた。FTA締結国向けに最大で日量294億立方フィートの輸出につながるプロジェクトのうち、すでに21件に対してライセンスを発行した(さらに3件が進行中)。また、日本とスペインを含むFTA非締結国向けに最大で日量280億立方フィートの輸出につながるプロジェクトのうち、17件のライセンス申請を受けて検討中だ。

DOEから委託を受けた民間企業のNERAコンサルティングは、分析した生産と価格の全シナリオで、輸出は米国に経済的恩恵をもたらすという内容の報告書を発表。特に「無制限輸出」シナリオは大きな恩恵をもたらすとしている。

米国の天然ガス法によれば、DOEは、輸出反対派によって輸出が米国の国益を損なうことが証明されないかぎり、輸出ライセンスを認可しなければならない。法律で義務づけられたパブリックコメントの期間が2月下旬に終わったことで、DOEは、ライセンス申請を審査し、決定を下す用意が整ったと発表した。

はっきりしないのは、DOEが申請者すべてにライセンスを発行するのか、である。また、認可の基準や、決定を下すのがモニス氏の指名承認前であるのかも、定かではない。

ただ、米国の法律ではライセンス供与の決定はエネルギー長官によって下されるが、実際は大統領の影響が大きい。オバマ大統領は米国を「天然ガスのサウジアラビア」と呼んだことがあり、経済的および環境的な恩恵、そして地政学的な利点からLNGを支持している。再選に向けた選挙運動時に大統領は、米国は「足元にある天然ガス100年分を開発する」ことが可能だと言明した。2月の一般教書演説でも大統領は天然ガスを称賛したが、DOEの決定を控えて輸出に触れることは避けた。

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