中途半端なグローバル資本主義が問題
さて、こんな話は何も私がわざわざ書かなくても誰でも知っている話である。またソニーの内部を知らない外野のメディアがぶつぶつ言っても、真実に程遠い与太話しか出てこない。ところがわれらが東洋経済オンラインの読者の皆様は、真実にしか関心がない。
そこで今回、人気連載「グローバルエリートは見た!」は特別に皆様のために、ソニー内部で働く現場の若手社員の方に、社内で起こっている変化についていろいろ調査してみた。あいにく大学時代の友人でソニーで働く某氏は口が堅く、何も教えてくれなかったので私は東洋経済の読者の皆様に代わり、怒りの“頭部が吹き飛ぶようなリストラ”(友達リストからの解雇)をくらわせてやったが、その他の方法で収集した以下のコメントの数々は典型的な多くの日本の大企業に共通する問題点とも整合している。
<以下コメント一例>
「組織のレイヤーが多すぎて課長に昇進するのも40歳。そして権限がない」
「テレビのリストラに時間が永遠にかかってしまっている」
「30代前半の伸び盛りのスタープレーヤーを活用できていない」
「優秀な若手社員が結構外部に転職している」
「上がコロコロ代わり、仕事をやったと見せかけるためだけの意味ない組織変更が多く、混乱に拍車がかかっている」
「働かず、貢献していない人の給料が高い(ソニーの平均給料は900万円を超える)」
「外部取締役を会長や社長が連れてくるのでみんなお友達。ガバナンスが効いていない」
「債務超過を繰り返す部門が残され、ほかの部門が不公平にリストラされる」
これらの典型的な不平不満に加え、近年にはストレスを抱えたソニー社員がフェレットをはじめとする小動物を虐殺し、動物愛護法違反で捕まるという痛ましい事件も起こっている。昔、シマリスやヒヨコ、金魚に熱帯魚を飼っていた小動物好きのグローバルエリートとしては、決して容認できない事件である。
大企業病の教科書に載せたくなるような内容であるが、これらはソニーやグローバル資本主義を批判する言葉として受け止めてほしくない。なぜなら、日本の大企業が、グローバル資本主義の競争を徹底しているからリストラする羽目になっているのではなく、中途半端なグローバル資本主義と社会主義が混在しているから日本企業が負けている、というのが実情だからだ。
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