日本のリストラのやり方は最悪
ソニーをはじめとする日本企業の解雇の仕方は最悪である。“キャリアデザイン室”とやらの陰湿な抜け道でぐずぐずするくらいなら、財務的余力がある間に給料を上乗せし、スッパリ人材の流動化を図ることを合法化したほうがまだマシだ。
そして労働者も労働者である。何ヵ月も解雇するまでの猶予をもらって窓際族でいさせてもらえることが、いかにグローバルスタンダードで見れば甘っちょろく、ありがたいことなのか知っておくべきだろう。会社がジリ貧になって優秀な社員は転職して外部流出し、じわじわと全員にシワ寄せをしながら、陰湿に実質退職勧奨をするために何ヵ月もかけるような現在のやり方は、会社にとっても社員にとっても社会にとっても、極めて非生産的である。
変化の速いグローバル競争の現在だからこそ、企業の構造改革を促進するリストラ環境を迅速に整備する必要だ。企業の構造改革を迅速化するためにも、リストラ規制の緩和と整備は産業競争力担保の社会インフラとさえ言える。
なお私は決してむやみで不当なリストラを容認しているのではなく、低い業績と失われる競争力に苦しむ企業が戦力ではない社員を適切な上積み給料を払いリストラすることが、構造改革をやりやすくする、と至極当たり前のことをいっているまでである。今後、円安で中途半端に一時的に業績が回復する前に、損失拡大で社会から合意を得られる間に、痛みの伴う改革を一気にやってしまったほうがいい。政府の過剰な支援が問題ではあったが、JALなどは大リストラを経て復活した好例であろう。
私は今回のソニーの“キャリアデザイン室”に代表される日本のリストラの非生産的なやり方と、企業のリストラに対する社会的批判を見ていると、マイケル・サンデル教授の挙げられた一例を思い出してしまう。
「ロープの吊り橋の上を人が歩いている。人数が増えてきて、1人突き落せばその他は助かるが、そのまま全員が居続ければロープごと切れて全員が死んでしまう。あなたならどうするか」
このような問題は誰しもが避けたい決断で、できれば会社全体で不採算部門や人員を抱えてあげたいのが人情だ。しかし、その判断の意図と結果は、正反対のものとなるだろう。
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