イオン、産業再生機構への“恨み節" ダイエーを子会社化へ、会見詳細を全掲載
――イオンにとって、今回の投資はどの程度の大きさなのか。
イオンの豊島正明専務 丸紅からの株式取得は約130億円。ただ、今後はイオンとダイエーが手を取り合って再生していくうえで、不採算店の閉鎖などの投資が具体的に出てくる。
食品スーパーへのシフト、「もったいなかった」
――イオンはJ.フロント リテイリングからピーコックを買収することを表明したばかりだが、国内で事業を拡大していく終着点は。事業規模の拡大は何を意味するか。ダイエーへの思いは?
イオンの岡田社長 ピーコックの話は偶然重なっただけ。施策としては、大都市圏シフトを掲げている。結果的にはわれわれの今の方針にそぐわないものではない。ダイエーは再生機構の当時の方針で、食品スーパーを中心に再建を進める選択を採った。当時はやむをえなかったかもしれないが、もったいなかったと思う。食品市場が盤石とみて、それに注力して、問題を解決するという戦略は外れてしまった。
今は食品自体が厳しくなっている。首都圏も例外ではない。ドラッグストアも厳しい。タバコに依存しているコンビニエンスストアも非常に厳しい。それに消費増税が重なる。考え方を根本から変えないといけない。日本の小売業界にまったく不足しているのがイノベーション。これほど古い店で平気で営業している小売業は日本しかない。海外に追いつかれ、置いていかれた。相当大変なことだが、新しい局面を切り開いていきたい。
――かつて急拡大したダイエーと、イオンはどこが違うか。
イオンの岡田社長 ダイエーが1990年代後半に非常に難しい状況になった原因や理由は語り尽くされている。私もその見解に加えて何かあるわけではない。
――ダイエーが日本で果たした役割は、価格を破壊するということだった。今回のM&Aは圧倒的なスケールメリットで、価格を壊すことを目指しているように見える。
イオンの岡田社長 どう答えていいかわからない。ただ、日本で消費者の権利が初めて認められたのが、小泉純一郎政権のとき。米国ではジョン・F・ケネディ大統領の時代だ。30~40年も遅れている。今の状態をみると、小泉政権のときの大きな変化は、また元に戻っている。大事なのは輸出産業だと。日本で誰が消費者を守っていくのか疑問。ダイエーは早くから主張してきた。私どもも同じような考えで。誰が消費者のことを考えるのかということを明確に示していきたい。
(撮影:大澤 誠)
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