3.11から2年後、千年規模で問う復興のかたち

歴史映画の名作が教える、あるべき共同体とのつきあい方

安易な「自己責任論」で、絆を失ってしまう前に

著者:與那覇潤(歴史学者、愛知県立大学准教授) 撮影:今井康一

2011年3月11日の東日本大震災から、2年の時が経った。いまなお、震災前の生活を取り戻すことができない方々がいる以上、「復興」は終わっていない。

最も深刻なのは住居を追われ、避難先での暮らしを続ける人々だろう。

地震や津波によって文字どおり家屋を奪われる苦痛も察するに余りあるが、福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質に対する懸念から故郷を離れた場合には、独自の困難が立ち塞がる。

それは放射線という脅威が肉眼では見えず、また「どこまでを安全と見なすか」に関して価値観が分裂しがちなために、「避難するのか、しないのか」自体が、個々人の選択に委ねられるケースが多いという問題だ。

そして、そのことが安易な「自己責任論」と結びつくとき、私たちの絆は失われる。

山下祐介・開沼博編 「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生までによれば、震災からちょうど1年後(つまり、現在から1年前)の刊行当時、福島県の避難者は約15万人。

故郷に「帰れるのは何年後までか」という問いには、3年と答える人が多いという。実際に、国による除染事業の目処や、中学・高校通学などの家族周期が3年サイクルであることを考えると、ここからの1年間で、「復興のかたち」が大きく決まる蓋然性が高い。

次ページそれぞれに思い描く、望ましい「復興」のあり方
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