2012年の総選挙は、最高裁が「違憲状態」と認める中で行われた。解散直前には「0増5減」の定数是正法案が可決されたが、選挙結果を受けて、選挙制度自体の改革も議論の視野に入っている。
前回取り上げたとおり、いわゆる中選挙区制の復活は議論にならないとしても、少なからぬ論者が小選挙区中心から比例代表中心の選挙制度への転換を唱えている。
しかし小選挙区制に比して、比例代表制が常に優れているわけではなく、逆もまた然りだ。選挙制度改革の議論を前に、両者の特徴を理解しておきたい。
勝者総取りの多数制、小党分立の比例制
小選挙区中心と比例代表中心、というこなれない言葉を使ったが、まずそれが指す意味を考えよう。
より広い文脈で言えば、前者は多数(代表)制と呼ばれる考え方に基づくものだ。この制度の下では、ある選挙区内で、多数の支持を受けた候補者やグループのみが代表となる。
総選挙で採用されている「小選挙区制」だけでなく、都道府県知事や市町村長の選挙制度も、それぞれの選挙区から一人の代表が選ばれるという点で、多数制である。
なお、選出される代表は、各選挙区から一人であることが多いが、政党への投票などを通じて、選挙区で最も支持を受けた一つの政党の複数人を代表として選出するような制度も、多数制だ。
一方、比例(代表)制では、その選挙区に定められた議席数が埋まるまで、得票率に応じて、異なる政党から複数の代表が選出される。
日本では、衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙で採用されている、有権者が政党を選び、投票する制度が「比例代表制」として理解される。
しかし、ある選挙区から所属政党の異なる複数の代表が選出される可能性のある点で、地方選挙で採用されている「中選挙区制」「大選挙区制」のように候補者個人に投票する制度も、比例制の一種と考えられる。
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