超想定外!海外インターンの「あるある悲劇」 実際にあった3トラブル、どうすれば防げた?

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実は渡航前から、ビジネス研修はほぼ日本語で行われることは聞いていたMくん。ただインターンシップでは、語学力次第で英語を必要とする実務に携われる可能性もあると聞いていたのでした。結局その機会を得られぬまま日々が過ぎ、まったく英語を話せなかった点について不満を募らせる結果となってしまいました。

とはいえ、実際の彼の業務内容を客観的に見てみますと、書類作成やデータ入力以外にも、会議に参加したり、スーパーバイザーからのアドバイスを受けながら企画を進めたりと、学生インターンとしては十分な内容でした。海外の職場では「日本語が話せること」も立派なスキルとみなされるため、日本に関連したタスクを担当したり、現地の日本人スタッフと一緒に働いたりすることはよくあるのです。

つまりは、英語環境での就労体験を求めていたMくんと、この会社のインターンシップ内容の「ミスマッチ」がこの事例の最大の問題点でした。海外インターンシップをお考えの皆さんは、大前提として「英語を学ぶ場ではなく、職業経験を積む場」と理解しておいたほうがいいでしょう。

言い換えますと、海外のビジネスシーンでは、英語はコミュニケーションのツールとして話せて当たり前。英語を使う頻度は会社や業務によって異なりますので、事前に確認しておくことも大切です。

次は、ホストカンパニー(受入企業)のマッチングの落とし穴です。

語学は申し分ないのに、オファーがまったく来ない

■ケース2:Oさん(文学部・3年生)

東京の名門私立大学に通うOさんは英文学を専攻する3年生。小学校時代は親の仕事の関係でロンドンに住んでいたこともあり、TOEICのスコアは900点オーバー。将来は広告業界で活躍したいと思い、イギリスの関連企業でのインターンシップを希望していました。

申し分ない英語力があるため、スムーズに受入先が決定すると思いきや、ここで思わぬ苦戦を強いられます。Oさんの希望はロンドンの広告関連の会社。ただ、広告業界はもとより、そのほかの会社からのオファーもまったく来ません。このままでは厳しいと判断し、英文履歴書を見直し、日本でのインターンシップ経験やアルバイト実績も盛り込んで再チャレンジしました。

ビザの申請のことを考えると、さすがにそろそろ決めたい……と焦りが出てきた頃、ロンドンのNPO法人からスカイプ面接の連絡が入り、ようやく受入先が決まったのでした。

Oさんのインターンシップ先がなかなか決まらなかった最大の要因は「学部」でした。英語力の高い日本の大学生は文学部や外国語学部に所属していることが多いのですが、海外インターンシップにおけるホストカンパニーのマッチングの際に苦労するケースが見受けられます。

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