ゴンザレスさん:あと、マネジャーからそれを言うとマネージャの立場が低くなるので、言わないほうがいいかもしれないですね。
それから、メキシコ人はみんなで反省会はやりません。先日も大きなイベントを終えたので、来年への改善という意味で反省会をしようとしたら、マネージャーは「すごく良かった!大成功!」と褒めて反省会にはなりませんでした。振り返りをしようと思うならチーム全体で行うのではなく、個人的に改善点を話し合ったほうがいいです。
カメタさん:メキシコ人は家族や同僚、会社のことなどをとても褒めます。うちの息子がこんなことをした!とか、同僚のことも褒め合ったり、「うちの会社は一番です!」と自信をもって言います。だから日本人が謙遜して、「うちの会社は小さいから……」などと言うと、自信がないように見えて信頼されません。メキシコのことをいっぱい褒めて、自分の周りのことや会社のことも褒めて下さい。
ゴンザレスさん:日本人は、プレゼンテーションのときなど、プレゼンテーターが話をしているのに原稿を見ていたり、下をむいてメモを取っていたりしますよね。それではプレゼンテーターが不安になります。人が話をしているときは、その人を見なくてはいけません。そして食べ物が出る時もありますが、メキシコでは人が話をしている時は食べません。食事が目の前にあっても、話を聞いている姿勢を見せることが重要です。
偉い人は、ビジネスの最初にしか出てこない
――メキシコと言えばテキーラですが、お酒の飲み方なども何か特徴はありますか?
カメタさん:メキシコでは‘”Romper el hielo!(ロンペール エル イエーロ)” という言葉があります。直訳すると「氷を割る」ということで、「無礼講で飲もう!」と、お酒を飲んで心を開くことなのです。一緒にテキーラを飲んだら仲良くなる。そうなると心が開いて、次の日から親しくなります。
ただ、日本人はそのときは楽しくして仲良くなっても、次の日にはまたビジネスライク、真面目に戻ってしまうので、拍子抜けしてしまうことがあります。「昨日仲良くなったのに、どうしたのだろう?」と思われてしまうのです。テキーラを飲んで一度仲良くなったら、その後もそのままの関係で大丈夫です。
ゴンザレスさん:例えば呼び方の例で言えば、テキーラを飲むまでは“Usted(ウステッド/あなた)”と呼んでいても、お酒の席では堅い事を嫌うので「“Tu(トゥ/カジュアルな呼び方)”でいいよ」と言われます。そうなったら、こちらのものです!
カメタさん:”Usted”の時は苗字で呼ばなければいけませんが、”Tu”を使う時は下の名前で呼んでもいいです。ただし、日本人の方からいきなり”Tu”で呼ぶことはしないで下さい。
ゴンザレスさん:商談の進め方にも特徴があります。日本では最後のほうに偉い人が出てきて話を進めますが、メキシコではまったく逆です。1度偉い人が出てきたら、それっきり。その後は部下に任せて、その人はもう出てきません。日本の方は、最初に出てきた偉い人が出て来なくなることで不安に思うようなのですが、その後は下の人に任せているので大丈夫です。プロセスが逆なのです。
メキシコ人の商談は、最初はぐぐっと押してハードルを高く設定します。そこでめげてしまう日本人の方が多いのですが、ぐっとこらえて下さい。交渉はそこから始まります。物事の進み方はスローペースです。
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