最近“フェアトレード”というコンセプトが広まりつつあり、激安賃金で現地労働者をこき使うコーヒーメーカーからは豆を買わない、といった運動が拡大しているが、ユニクロに対し国内版フェアトレードを求めて不買運動する人がいるだろうか。私は99%の確信を持って申し上げるが、大多数の方々は今後も引き続き、手軽で安いユニクロウエアを喜々として大人買いされることであろう。
「ブラック企業ではなく、グローバル企業」の真意とは
新年の対談で城繁幸氏が「ユニクロはブラック企業なのではなく、グローバル企業なのだ」とおっしゃっていたが、皆様はこの言葉をどのように解釈されただろうか。そのときは城さんとの会談に遅刻したことでパニくっていたため、あまり気に留めない言葉だったのだが、思えばユニクロで起こっていることは、資本主義のグローバル競争では必然の結末なのだとも解釈できる。
つまり完全競争のグローバル市場では、財やサービスが生み出されても資本家と顧客は便益を受けるが、その投入要素で代替可能な労働者は、搾り取られる運命にあるということだ。一昔前は規制で労働者、資本家、顧客への富の分配に一定の枠があったが、グローバル競争になると一国の国内の規制だけでは対応できず、勇み足でそれをやってしまうと競争に敗れ、国内から当該産業が消え去るリスクがある。
まぁ、産業で生み出された付加価値を資本家と労働者がどう分配するのか、というバランスの観点で見れば、投資家に利益が寄りすぎている気もするが、グローバル市場での労働コストに収斂するまで、実質賃下げか産業流出の難しい選択が迫られるだろう。労働者の皆様の目覚めと突然の生産性向上でもない限り、これは避けられない運命である。
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