東京海上の「超保険」が売れに売れる理由 被災地や地震リスクが高い地域で、抜群の実績

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専業代理店が普及の牽引役に

こうした商品特性は、販売方法の革新とも表裏一体の関係にある。超保険のセールスに際しては、家族全員のプロフィールを把握したうえで、個々人のライフステージやニーズに合った提案をしていくため、十分な説明時間が必要となる。

そのため、02年6月の発売に際して東京海上では資格制度を設け、一定水準に達した代理店だけに取り扱いを認めた。そして、森社長のように「超保険こそ保険の心髄」と感じた専業代理店の経営者らが「超保険カレッジ」などの勉強会を地域ごとに組織し、自主的に販売手法などの勉強を重ねて普及に努めてきた。

ただし、現在までの道のりは決して平坦だったわけではない。商品説明に高いスキルが必要だったことや、説明に用いるコンピュータ端末の性能に限界があったことから、発売後3~4年間での契約件数の積み上げは思うように進まなかった。超保険の心臓部である自動車に関する補償で従来の自動車保険とはまったく異なる料率体系を設けたことは、専門家の間で高い評価を得た一方、運転者が多い場合には割高になるなど、デメリットもあった。

「抜本改革」で契約件数は150万世帯へ

販売実績が大きく伸びるきっかけとなったのが、10年10月に実施された商品内容の抜本改革だった。自動車に関する補償を、東京海上の主力商品「トータルアシスト」と同じものにするなど独自性を薄めたことは賛否を呼んだが、社内で「抜本超保険」と呼ぶ新たな仕組みでは、プラットフォームを共通化することで、最新の商品開発の成果を取り入れることができ、販売もしやすくなった。

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