中野 株高になることも知っていたと?
藤野 米国経済のファンダメンタルズが好転していたこと、日本の貿易収支が赤字に転じたことから円安が進み、日本企業の業績回復期待が高まることは自明でしょう。株価を見ても、日本の小型株が大きく上昇する一方、大型株は下げ過ぎでしたから、その修正がいつ起きてもおかしくないタイミングにあったわけです。だから、安倍首相はグッドタイミングでノロシを上げたことになります。
円安とは、円の価値が目減りすること
渋澤 まあ、アベノミクスによって円安が進んだわけだけれども、これによっていよいよ個人も「持たざるリスク」を認識しなければならなくなったね。仮に1ドル=80円が160円になったらどうなるか。日本は個人金融資産がたくさんあるから大丈夫などと言っている人もいるけれども、円安が進めば進むほど、円の資産価値は目減りしていく。現預金だけで資産を保有している人は、どんどん貧しくなっちゃう。これ、なかなか実感できないと思うんだけどさ。
日本みたいに食糧や資源、エネルギーの多くを海外からの輸入に頼っている国にとっては、とても大きな問題だと思うよ。だって、今まで1ドル=80円だったら、1000ドルのものを買うのに8万円で済んでいたのが、1ドル=160円になったら16万円。円ベースで倍のお金を払わなければ、1000ドルのものを買うことができないということは、それだけ円の価値が国際的に下落したことになるもんね。
藤野 日本の個人金融資産は約1500兆円。でも、1ドル=76円前後から95~96円前後まで円安が進みましたから、円はドルに対して25%程度も価値が目減りしたことになります。それも、ほんの3か月程度で、これだけ円安が進んだわけです。仮に1500兆円のうちの20%としても、単純計算して、300兆円の個人金融資産が、あっという間に消えてしまったことになります。この厳然たる事実を、しっかり自分事として認識できるかどうかというのが、「金持ち父さん、貧乏父さん」の分かれ目になるのでしょうね。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら