ドコモにいなかった そのことを利点にしたい−−山田隆持 NTTドコモ次期社長
-- 番号ポータビリティ開始以後、純増数で負けが続き、新ビジネスモデルへの転換を図っている中での社長就任だが。
打診があったのは4月上旬。不安がないといったらウソになるが即答した。前任の中村維夫社長(取締役相談役に就任予定)には、販売奨励金の見直しや新しいコーポレートブランドの策定、地域販社の統合など持続的成長への道筋をつけていただいた。私自身は経営者として現場原点主義を掲げていきたい。法人市場はソリューション勝負でまだまだ伸びるし、インターネットや情報家電、放送、固定電話などと、携帯はさまざまな融合が進んでいく。競争は厳しいが、転換点に立つときこそお客様視点が大切。イノベーションによる先進性を発揮して携帯の進化を図る。
-- 先進性を発揮というが、ドコモはこれまで技術偏重のきらいがあったのではないか。
先進性とは、お客様にとっていいサービスを作っていくことであり、技術はお客様のニーズに合ったものでないといけない。今後、スーパー3Gといった現状よりさらに進化した高速通信ネットワークを作っていくが、これを作ることが目的ではいけない。必要条件だと考えている。そして、使って喜んでいただけるようなサービスを提供することが十分条件となる。
-- 既存顧客をこれまで以上に重視する新ドコモ宣言を4月に発表し、ロゴも変えた。変えたいという意図はわかるが、あらためてドコモの課題とは?
創業以来右肩上がりで来たが、最近は厳しい状況となっている。そうすると、努力が必ずしも結果に結び付かず、元気がないというよりは、どう方策を変えたらいいのかわからないといった“ためらい”があったのではないか。それと、本社組織が大きくなると大企業病が出てくるもの。部分最適に走り全体最適が見えなくなってくる。
-- 日本の端末メーカーは国際競争力を失い撤退するところも出てきた。キャリアとしてその状況についてどう考える?
ドコモ向けソフトウエアをパッケージ化し、端末メーカーに提供するオペレータパックを導入する(2009年後半から搭載予定)。国内メーカーにしてみれば、ドコモ向けに作り込む手間が省けて、端末を海外に持っていきやすくなる。海外メーカーも日本市場に参入しやすくなる。
-- NTTで固定通信の仕事が長かったことは、ドコモの社長としての弱みにならないか?
ドコモに来てまだ1年だが、ドコモに長くいなかったことをむしろ利点にしたい。ほかでの経験を生かしていきたいし、経営陣はチームドコモとして結束して取り組む。人が結束するところには、知恵と力が生まれるものだ。
(撮影:谷川真紀子 =週刊東洋経済)
やまだ・りゅうじ
1948年生まれ、兵庫県出身。73年大阪大学大学院修了後、日本電信電話公社入社。NTT西日本常務、NTT副社長を経て、2007年にNTTドコモ副社長、今年6月に社長就任予定。
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