羽田発着の米国便はどれだけ便利になるのか ANAとJAL「昼間帯解禁後」の新ダイヤ

拡大
縮小

ANAは10月30日から、現在毎日2往復を運航する成田―ニューヨーク(JFK)線のうち、成田午前発とニューヨーク夕方発の便の1往復を、成田発着から羽田発着へ変更する。羽田発ニューヨーク行きは朝10時20分発。羽田でのチェックインの締め切り時間は便出発40分前で、国際線ターミナルに朝9時ごろの到着でも間に合うので、羽田へ便利な都内や神奈川方面からの利用者はもちろん、ANAが就航する国内地方空港からも始発便に乗れば同日乗り継ぎが可能となる。ニューヨークへの到着も朝9時で昼前にはマンハッタンで動くことができる。羽田-ニューヨーク線は出張者にも旅行者にも便利な路線になるだろう。

ニューヨーク、タイムズ・スクエア

そしてニューヨーク発羽田行きの帰国便は、JFK空港の出発が現地16時55分発と、現地14時ごろまでにマンハッタンを出れば間に合う。羽田への到着は翌日の夜21時10分。2泊4日の行程であっても現地滞在時間は約56時間弱を確保でき、ディナーは2回、ランチにいたっては3回取れる。羽田は成田よりも都心に近く、羽田―ニューヨーク線は出張者にも旅行者にも便利な路線になるだろう。

一方JALはどうなるのか?

そうなると、JALも日中時間帯の羽田―ニューヨークへ就航したいところだろうが、今回の発着枠はANAに多めに傾斜配分されたため、実質は現状の深夜早朝発着枠の2枠が日中時間帯に移行するだけで便数も現行と変わらず、就航路線もサンフランシスコとホノルルを継続し、発着時間のみ変わる。

そもそもJALの経営再建が進んだ再上場前の2012年8月10日に国土交通省航空局が出した「日本航空の企業再生への対応について」(いわゆる8.10ペーパー)によって、「JALグループ中期経営計画(2012年度~2016年度)」の期間中は、国交省がJALの新規路線の就航を抑制的に判断している。10月30日の時点での羽田―ニューヨーク線の就航は事実上難しいこともあって、JALは成田―ニューヨーク線については現行どおり1日2往復体制を継続する。

ただ、8.10ペーパーの期限を迎える2017年春以降に、JALが羽田発着のサンフランシスコ線かホノルル線のどちらかをニューヨーク線に振り替える可能性は考えられる。日本の航空会社にとっては、ニューヨーク線とロンドン線は主力路線だからだ。

次ページデルタ航空が発表した声明
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT