オリンピック出場者の意外な「第二の人生」

セカンドキャリアでも輝くために必要なこと

「AD時代は、メダリストなんだから、こんな雑用みたいな仕事じゃなくてほかにいい仕事があるんじゃないの? と周囲から言われることもありました。でも、私のなかでは、メダリストだから、という気持ちはまったくありませんでした。シンクロの世界ではそれなりに上まで行けましたが、テレビの世界はまったくの未経験。シンクロとは切り離して考えていました。スポーツ選手には負けず嫌いが多いんですけど、私にとっては、『辞める=負ける』という感覚があったんです。シンクロを知っていることが私の唯一の武器なので、世界水泳やオリンピックなど、水泳中継の多いテレビ朝日だからこそ、ここまで仕事を続けられたのかもしれません。私の居場所というか、存在価値。シンクロをやるときは、皆が頼ってくれる。自分の知識や経験が役立っていることがうれしいです」

特技をどう生かすべきなのか?

オリンピアンたちは引退後、そのキャリアを生かして指導者の道に進む人が多い(ネームバリューがあればタレント的な活動、国会議員として活躍することもできる)。そのなかで、青山や川嶋のように、まったく別の業種を選び、その枠のなかで自分の特技を生かすという方法もある。 

オリンピックと比べると、たいしたレベルではないが、大学時代、筆者のまわりには、箱根駅伝経験者がたくさんいた。その多くは実業団に進んだが、そういうチームに行くと、箱根出場は当たり前で、少しも珍しいことはない。しかし、まったく別の世界に飛び込むことで、希少価値が出てくる。

筆者は、「箱根を走った」ということが、スポーツライターの武器になるのではと思い、この仕事を選んだ。その戦略は“正解”だったと感じている。自分の特技を「ソフト」として使える業種を選ぶことで、大きなチャンスが生まれるからだ。

スポーツ選手のキャリアが長くなると、一般業務への転身は簡単なことではない。それでも、オリンピアンたちの貴重な経験が、世の中に還元できるようになると、この国のスポーツ文化はもっと豊かになるはずだ。アスリートたちには、セカンドキャリアでも輝ける人生を歩んでほしいと思う。

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成長を確実にする組織の根幹を成すのが、研究開発と人事である。研究開発体制は2015年4月、各研究所に横串を通し、顧客起点の組織に生まれ変わらせた。人事制度もグローバル化がほぼ完了。踊り場から飛躍へ、日立の地固めの様相を追う。