金メダル18個の「怪物」を生んだ驚異の育成法 リオ五輪、競泳日本が警戒する最大のライバル
いよいよ開幕となったリオデジャネイロ五輪。政治の混乱や試合会場の整備不足などが取りざたされる一方で、南アメリカ大陸では史上初、南半球では実に60年ぶりとなるオリンピック開催ということでも注目を集めています。そしてもちろん、見逃せないのが、日本人代表選手たちの活躍です。今大会ではいったいいくつの金メダルを獲得できるのでしょうか。
一方、彼らの前に立ちはだかる世界の強敵たちがいます。なかでも警戒すべきは、人気種目・競泳において、過去1人で通算18個もの金メダルを米国にもたらし、今大会限りの引退を表明している“怪物”マイケル・フェルプス。
彼の輝かしい実績の背景には、11歳から指導に当たり、米国代表チームのコーチも務めるボブ・ボウマン氏の存在があります。マイケル・フェルプスをはじめ、43人の教え子を世界記録樹立に導いてきた名将は、著書『君もチャンピオンになれる』の中で「過酷な状況下で自分のベストの力を発揮するために『逆風』をバネにすることが大切だ」と説いています。
練習のときにあえて「不快な環境」を作る理由
オリンピックには、アスリートがそれまで直面したどんなプレッシャーにも及ばないプレッシャーがあります。それは選手を圧倒しかねない、すさまじいものです。だから、私たちのトレーニングの中には「プレッシャー・シミュレーション」というものがあります。
プレッシャー・シミュレーションとはどんなものかというと、週に3回から4回、わざと不快な環境で練習させるのです。選手たちは乗り切ることもありますが、失敗して何らかの対応を迫られることもあります。
たとえば1対1で対決させて、競わせる。私はレーンの近くで、「それじゃ、だめだ。いったい何様のつもりだ!」と怒鳴って、練習をやめさせ、「やり直しだ。全然基準に達していないぞ。こんな泳ぎなど見たくない」と言い渡します。
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