「記憶力日本一の男」流、忘れない力の鍛錬法 脳が「覚えやすい形」に情報を加工してみよう
池田:そうですね。まったく衰退しない記憶はないので、ある程度のところで復習が必要になります。でも記憶って、重要なのは最初のインパクトです。最初にどれだけ強く印象に残すかで、衰退のスピードは変わります。
あとは最初にもお話ししましたが、やはり感情が動いたほうが記憶には有利です。ですので、普段の生活の中でワクワクすること、感受性豊かな生活を送ることが、ひいては記憶の定着につながります。
鬼頭:感情ですね。池田さん自身は、記憶術を学び始めてからメンタル的に変化した部分もあったと聞きましたが。
池田:すごく強化されたなという実感があります。記憶するときはたいてい、頭のメモ帳に物事を書き留めながら別の作業をするのですが、これが緊張や不安があると途端に出来なくなってしまいます。
特に、大会で「これで順位が決まる」とか「自己最高記録を出そう」というときには、全部アイドリングしているというか、覚える作業が上滑りするような感じで、フタを開けてみると何も思い出せない……というときもあって。だから、そういう感情に負けないようトレーニングを積みましたし、それが結果的にメンタル強化につながりました。
「覚えよう」と思わないと、人は何も覚えられない
鬼頭:もうひとつ個人的な悩みなのですが、僕、人の出身地や住んでいる場所を覚えるのがめちゃくちゃ苦手で、同じ人に何度も「ご出身は?」と聞いてしまったりするんです。人って、前に自分が言ったことを覚えていてくれると嬉しいじゃないですか。営業の方とかはなおさら大事だと思うのですが、この悩みに記憶術を応用できないでしょうか?
池田:できますよ。その人と出身地をつなげて覚えるときは、勝手にそれを何かイメージに変えてしまうんです。静岡出身の方について覚えるなら、お茶っ葉を刈っているでも、富士山に登っているでもいいので、仕事とか趣味とか癖とか、勝手に想像して映像化するんです。
鬼頭:面白いですね。そういう情報にも復習は必要なんですか?
池田:名刺のところに、その人に関連付けるイメージのワードを記載したりすることはできますよね。顔と名前の一致を定着させたい場合は、会の途中、さりげなく名前で呼びかけるよう心掛けるとか。
鬼頭:ビジネスパーソンだとお酒を飲む機会も多いと思うんですが、お酒を飲んだらそれこそ全然覚えられないんですよね……。
池田:お酒の席でもなんでも、「覚えよう」という気持ちは最重要です。今日は顔と名前だけは絶対覚えよう!という心で臨めば、だいぶ違います。人間は積極的に「覚えよう」と思わないと、何も覚えられないのです。
ちなみに僕は大会の1カ月前くらいからアルコールを抜いています。これはアルコールが記憶力に影響するとかではなく、スポーツと同じでトレーニングの一環として、です。お酒を飲んだ次の日は、どうしてもパフォーマンスが下がってしまうので。
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