ただ、勤務医の給与と開業医の給与を比較すること自体、意味があるのかという議論もあります。
勤務医の給与については、額面の給与と手取りの給与ということである程度比較することができますが、開業医の場合は経営者になるわけですから、その責任やリスクは勤務医に比べてはるかに高くなります。また、勤務時間も勤務医の場合は(一応)就業規則で決まっていますが、開業医の場合は不規則で、患者が来る時間に合わせなければいけません。それに開業したての頃は十分なスタッフがおらず、自分で何から何まで処理することになります。
ですから、「開業医になりさえすれば楽に稼げる」というのは、正しくありません。
それでも開業医はおいしい?
では、実際、開業医はおいしいか、おいしくないか?
私は「基本的にはおいしい」と答えます。
ただこれは、「一般の経営者と比較して」という前提です。私も現在の会社では経営陣の一人として働いていますが、毎月の売り上げを確保するのは本当に大変です。つねに新しいことを企画し、それを実行し、マネジメントもきちんと行わないと顧客の獲得は難しい。ですが、医師の開業については都市部の人気エリアを除いて、競争が激化していないということもあり、きちんとした経営を行えば、患者を集めるのにそれほど苦労はしません。
医療サービスは高成長分野です。対象とする顧客はすべての国民と考えることができます。さらに、今後は、高齢化に伴って患者のニーズは増加の一方です。それゆえ、弊社でも開業支援サービスを行っていますが、よほど地域ニーズに反しないかぎり、開業で失敗するというケースは多くありません。
しかしながらそういった環境下でも、「この医師は危ない!」という方に出会うことがあります。
開業医に合う人、合わない人
医師というのは基本的に、経営的なことやその数字に対して苦手意識があるようです。医学部のカリキュラムを見ても基礎および臨床医学の勉強が中心で、経営や商学を学ぶ機会はありませんし、また医学部時代は、アルバイトも家庭教師などが多い。つまり、実際のビジネスを体験する場をあまり持たないのです。
ただ開業となると、当然、商売的な要素のほうが多く絡んできます。それゆえいくら腕がよく、学術的に優秀でも、経営はまったくできない医師が生まれてしまうことがあります。
そのあたりをよくわかったうえで開業する医師はよいのですが、以下のような医師は開業しても苦戦をしいられることになります。
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