「なでしこ銘柄」 笑った会社、泣いた会社 ユニクロ、花王が選ばれ、ローソン、資生堂が落ちた事情

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時価総額でみれば・・・

銘柄選定には流動性を配慮して、東証1部銘柄にしぼり選考されたともいえる。時価総額で並べればどうか。この点でも、女性役員4人を誇り、この春に女性社長が誕生するエステーや、同じく女性役員4人のパソナは分が悪かったようだ。資生堂はこの時価総額では花王に3倍もの差をつけられている。

それでも、ゴム対決で女性役員ゼロの住友ゴムに敗れた女性役員3人のブリヂストンは説明がつかない。ROEでは僅差だったが、時価総額では格の違いをみせつけている。ただ、その3人の中身を見れば、社外取締役2人に社外監査役1人。住友ゴムが評価された育児に配慮した勤務形態の導入など、まだまだ改善の余地はあるようだ。

また、時価総額で大きいのは三井住友。女性社員比率が4割を超し、女性管理職比率も9%近く立派だが、この銀行部門では三菱UFJの時価総額が首位。育児休業取得者数で国内随一の三菱UFJを上回ったのは何か。リテール部門に限らず、幅広い部門において女性のポスト登用に積極的だとするが、数値データが明記されていない。日本総合研究所が行ったというスコアが非公表なだけに、詳細は不明だ。

また、日産自動車は時価総額4兆円超え、女性管理職比率6.7%、女性部長比率が4.1%と女性活用度も高く申し分ない。経団連が目標に設定する1%を大きく上回った。横浜のグローバル本社に国内3カ所目の事業所内託児施設「まーちらんど」を設置したことなども評価された。

いずれにしても、今回の17銘柄は、投資の新しい尺度となるきっかけづくりと東証は説明する。今年度から東証が「ESG」(環境・社会・企業統治)、「特許」とテーマ銘柄として選定してきたシリーズ第3弾となる「女性の活躍」編。これを機に、新たな女性活用企業の発掘が進めばと期待をこめる。選に漏れた銘柄でも、なでしこ関連と見直されるところも出てきそうだ。

(撮影:尾形文繁)

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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