1日4時間営業の、小さなバーが流行る秘密 成功の秘訣はクラブとバーのすき間産業

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――接客も重要ということですね。何かコツはありますか?

名古屋の人は慣れるのに時間がかかります。でも、一度心の扉を開けると後は土足で入れる(笑)。扉を開けるのは得意かもしれません。お店に初めて来てくださった方のツボを10分ぐらいでたいてい見つけられます。

まずは1人ずつ好きになるところから

私や店を好きになってもらうよりも、私が1人ひとりのお客様を好きになることが大事なんです。そのお客様のいいところを探すことが接客の近道だと思っています。ここに来てくれる方は98%ぐらい大丈夫。周囲に気を使ってくれる人ばかりです。おカネにものを言わせて威張るような人はほとんど来ません。いい人しか来てほしくないという念を発しているので、うちには変な人は来ないんです(笑)。

一度ちゃんと付き合うと離れないのも名古屋の特徴だと思います。私はこの業界に入って10年以上になりますが、昔からのお客さんが多いですよ。ホームページもないし、宣伝も一切していないので、口コミだけで商売しています。私もお世話になった方に不義理はしません。

――「うちには変な客は1人もいない」なんて言われると、みんな「いい人」にならざるをえないんじゃないですか?

あ、確かに(ホステス時代に培った)テクニックも入っています。私は高い洋服などはお客さんに買ってもらっています。あれが欲しいなあと言っていると、買って来てくれるんです。(高価な)モノは自分で買うんじゃなくて贈ってもらうのが基本でしょう。でも、男性は真似しちゃダメですよ。自分で稼がないとダメになります。

「再婚はしません。一人で生きていくと決めたから離婚したんですよ」「そうなんですか…」

 

埼玉県でクリーニング業を営んでいる父親から「いま住んでいる町と人を大事にしろ。二度と戻ってくるな」と言われて覚悟が決まったという話が胸に染みた。自営業者だけでなく、転勤族の会社員にも参考になる話だと思う。土地を愛することができなければ、その土地から愛されることもない。

もうひとつ気になったのは、島田さんはまだ41歳なのに「女は家事と育児優先。男は稼ぐべし」といった古風な発言が多いこと。高級バーとクラブの「すき間」で成り立っているという商売柄も影響しているのだろうが、20年間で愛知の風土に染まった部分もあるような気がした。島田さんだけではなく、愛知県の女性は年齢を問わずに「男を立てる」気風が強いのだ。それで得しているのは女のほうだと思うけど……。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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