トヨタとマッキンゼー、強さの根源は同じだ 基本中の基本、PDCAを極められるか

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2.Pをしっかりと行うからCができる

「うちの会社はCが弱くて」と言われる社長さんは多いのですが、CができないのはPが作法にのっとって行われていないからです。

中国進出に失敗した、ある企業の社長が「うちには、中国進出を行う力はないな」、そしてさらに「うちには海外進出は無理だ」と言っていたことがあります。これはあまりに、大ざっぱな学習と言わざるをえません。この会社では撤退に至るまでに、さまざまな意思決定がありましたが、そもそも市場の分析がなく、よって初期仮説となる基本戦略も立てられていなかったため、どこに読み違いがあったのかを検証するPDCAを回しようがない状態でした。

すべての企画(P)には、What-Why-How、つまり「何をやるのか」「なぜやるのか」、そして「どうやるのか」がそろっていることが基本です。ところが企業内に出回っている方針書などを拝見すると、どうもWhyが欠落している場合がとても多いのです。これは「つべこべ言わず、言われたことを考えずにやれ」という組織のロボット状態化を進めてしまいます。

一般的には、現状把握(あるいは振り返り)、意味合いの抽出、解の方向性の明確化、策の代替案の評価と決定、実行計画の策定までそろってはじめて、What-Why-How を踏襲し、PDCAの回るPになります。作法を守ったPがあれば、Cの段階で「なぜうまくいったのか」、そして「どこに読み違えがあったのか」を明確にすることが可能になります。そして、それによって、成功則を磨き上げる「学習」がなされることになるのです。

PDCAの精度を上げていくカギ

3.PDCAのPは、PDCAを回す当人がつくる

現場のレベルが高い日本企業において、作法を守ったPを実行、検証し、そして改善(A)し、精度を上げて行くには、PDCAを実際に回すマネジャー自身が企画立案(P)することがカギになります。現場における企画立案とは問題発見、問題解決にほかなりません。

「マッキンゼーの問題解決のノウハウは、MECEとロジックツリーに尽きる」、企画や戦略(P)の立案の精度に強みをもつマッキンゼーの東京オフィスの礎を作った世代がよく言っていたことのひとつです。

トヨタをはじめ多くの日本企業が80年代に展開したTQC(全社的品質管理)の手法には、このMECE・ロジックツリーと同じ考え方で、現場や一般マネジャー向きに使いやすく工夫されている特性要因図などがあります。

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