トヨタとマッキンゼー、強さの根源は同じだ 基本中の基本、PDCAを極められるか

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こうしたフレームワークを用いて、ファクトベースの(事実に即した)議論や検討を行う習慣をつけることで、マネジャーの企画(P)立案の精度が高まっていきます。Pをつくったマネジャーが自分の言葉でPDCA全体を語れ、指示できるような状態をつくり、自分の指揮下にある組織内の全体最適をはかる使命を持つことを自覚します。これを階層的に行っている組織になって、初めて組織としてPDCAが回っていくことになります。

PDCAの本当の醍醐味はAにある

先日、トヨタのグループ企業のトップだった方と、日本の他の某自動車メーカーの方が議論を行う場を持ちました。その自動車メーカーの業績は現在低迷しており、模索を続けている状態にあります。この討論をギャラリーとして見ている側から明らかだったのは、トヨタはPDCAをベースに人を育てるという大前提があるのに対して、その会社は、ディレクティブに「下にやらせる」というスタイルをとっていることでした。

PDCAを回している人たちが、業務精度をさらに高めるために、方法論に改善(A)を加えることで、やらされるのではなく、自ら考え「学習」を重ね、自律的に動ける状態をつくる。プラン・ドゥ・シー(Plan-Do-See、企画-実行-検証)がさらに進化したPDCAの真骨頂が、このAに当たります。

PDCAの発表帳票や会議のやり方の改善だけにとどまらず、たとえば製品の企画から市場投入までのリードタイム短縮のためのプロセス改善など、さまざまな改善がここには含まれます。

PDCAのAは一般的にはAction(改善)と説明されますが、むしろAdvance(進化)、ととらえるほうが適切かもしれません。

稲田 将人 RE-Engineering Partners代表

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いなだ まさと / Masato Inada

早稲田大学大学院理工学研究科、および米国コロンビア大学大学院コンピューターサイエンス科修了。当時、デミング賞受賞に向けてTQCに取り組んでいた豊田自動織機製作所自動車事業部勤務の後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、その後は、卑弥呼、アオキインターナショナル(現Aoki HD)、ロック・フィールド、日本コカ・コーラなど、大手企業の代表取締役、役員、事業/営業責任者として売上V字回復、収益性強化などの企業改革を行う。入念な戦略構築のみならず、企業が戦略を実践し、PDCAを廻して永続的に発展するための習慣づけ、企業文化づくりに取り組む。手掛けた事例は、ワールドにおける低迷していた大型ブランドの活性化による再成長軌道入れなど多数。現在は、RE-Engineering Partnersを設立し、企業改革のディレクターとして、事業の立て直し、企業の再成長軌道入れプロジェクトを請け負う。 豊田自動織機製作所では、自動車工場の生産指示のためのALC(Assembly Line Control)システムの初期段階の開発、立上げに携わる。著書に『戦略参謀』『経営参謀』(ダイヤモンド社)がある。

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