人事部は「脳科学と動物学」を学びなさい

八木洋介LIXIL副社長が語るワーク・ルールズ

――副社長が自ら同行する。他の企業の研修とは大きく違いますね。

研修を受けたら人が育つという期待をする人が人事にも受講者にもいますが、研修はそんな魔法のツールではありません。研修でできる、あるいは研修でやらなければならないのは、ただひとつ、「このままでは自分はダメだ」と気づかせることだけなのです。

人を変えるには人事のリーダーシップが不可欠

――人材を見ていくなかで、日本人と欧米人の乖離というか、先天的な資質の差というのはありますか?

基本的に一緒でしょう。たとえば、オギャーと生まれた子どもを日本の親から離して、米国人の親にくっつけたら米国人になりますよ。さっき言ったように、ほとんどは体験なのです。ただし、全部体験というわけではないかもしれません。ゲノムの世界があるので、そこがまた面白いところですね。私は、今度はゲノムを勉強しようと思っているんですよ。

――どんどん深くなっていきますね。

遺伝で変わらないものと、経験によって変わるものというのは、まだわかっていないのです。だから、別に私が勉強したからといってわかる話ではないのですが、最先端を知っておきたいですね。

人間の脳というのは、3、4歳ぐらいまでに急激に育って、あとは育たないと言われています。ところが、脳の組織は入れ替わっていくことがわかっているのです。人間はいくつになっても変われることがわかっている。ただし、変わるスピードが遅くなるのです。だから、ここは変えたほうがいいということがあれば、「なぜ変えたほうがいいのか?」をきちんと話して変えてもらう。たったひとつのことを変えるのにも、1年ぐらいかかると思いますが、ネガティブな人をポジティブにするなんてこともできるのです。

――人事のリーダーシップによって、やる気だけでなく人も変わっていく。

人間は変わるのです。あくまでも変わらないと主張する人に対して、「今からトランプをやろう」と誘ってみます。ババ抜き、七並べをやって、最後にポーカーをやろうと。人間はポーカーをやり始めると、騙し始めるのです。たとえいい人でも、ゲームのルールが変われば、人間は変わるのです。

ましてや、私たちは人を騙すというゲームではなくて、世界中の人たちに豊かで快適な住生活を送っていただくための商品をお届けしようとしている。なんでこんなにすばらしいことができないのですか、というわけです。LIXILの社員を見てください。もともとは来歴の異なる別々の会社が集合したものでした。そんな中から、ここ数年でひとつになり、さらにグローバル化するという、本当に激しいチェンジの中で、みんななんとか必死になって食らいついてきてくれています。変わるんですよ、会社も。

――そのカギを握るのは人事だと。

経営ももちろんカギを握るでしょう。でも私は、その最先端を行かなくてはいけないのは人事であると思っています。「人事は人に寄り添っている」存在であり、会社を差別化し、最もパフォーマンスを上げる源泉ですから。

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