――人事と脳科学の組み合わせなんて、今までに聞いたことがありませんでした。
脳科学を導入しようとしている人事は最近、時々ありますよ。あるいは、人事の世界にもう少し数字、たとえば、KPI(重要業績評価指標)を入れていこうという動きをしている人たちもいます。私の趣味ではありませんが、それも大事だと思っています。
モンゴルの草原でマネジャーを育てる
――八木さんが取り組まれているものの中に、マネジャーを万里の長城やモンゴルに連れて行って、自分自身の振り返りをさせるといったものがあるそうですが、こちらについてお伺いしてもよいでしょうか。
日本以外の国では、子どもたちは「自己主張しなさい」と言われて育っています。一番になりなさい、勝ちなさい、自分らしい生き方をしなさい、など。
反対に日本の子どもたちは、みんなと仲良くしなさい、思いやりを持ちなさい、人に迷惑をかけるな、お兄ちゃんでしょと、全部「自分を抑えろ」と教えられるのですね。自分を抑えろと育てられた人と、自分を出せと育てられた人がグローバルで一緒に仕事をしたら、どっちが主導権を握りますかね。答えは明快です。
いい仕事をしている日本人がグローバルに展開しようと思ったら、自己主張しなければいけない。「自分が正しいと思っていることを主張しよう」という世界をつくらなければいけないのです。それを見つけてもらうために、モンゴルまで行っています。
これは、脳科学とも関係があるのです。人間の性格というのは、過去の経験からほとんど出来上がっています。ゲノムもありますが、ほとんど過去の経験から成り立っているのが人間の性格です。それを思い出させるのです。
「あなたが過去においてものすごく腹が立ったときって、どんなときでしたか?」みたいなこと。そうすると、「その裏側にあなたが大切にしていることがあるよね」というような禅問答をしていきます。
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