サッカーの天才、クライフに学ぶ”遊び心” ぶっ飛んだ発想が生まれるワケ

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サッカー界の英雄、ヨハン・クライフ。現代サッカーの礎を築いた人物である(写真:VI-Images via Getty Images)

最強チーム、バルセロナの基礎を作った男

オランダの英雄、ヨハン・クライフは、2つの点で偉大だと言われている。ひとつは美しいプレーで世界中の観客を魅了したこと。もうひとつはサッカーを劇的に進化させる哲学を打ち出したことだ。

ペレも、ベッケンバウアーも、マラドーナも、新たなサッカーの創造には至らなかった。この両方の条件を満たした人物は、おそらくクライフしかいない。まさしく“サッカーの天才”である。

クライフの偉業の中で、人々の記憶に最も刻まれているのは1974年の西ドイツW杯だ。

クライフを中心とするオランダ代表は、選手が自由に動きまわる誰も見たことがない戦術で大会を席巻した。このスタイルは「トータルフットボール」と呼ばれ、クライフはその象徴になった。決勝こそ“皇帝”ベッケンバウアーを擁する西ドイツに敗れたが、人々の記憶により美しく刻まれたのはクライフだった。

現在、世界最強と言われるFCバルセロナの基礎を作ったのもクライフである。

1988年にバルセロナの監督に就任すると、「自分たちがボールを持っていれば、点を取られない」という超攻撃的なフィロソフィーを提唱。トップチームだけでなく、育成組織にまでそれを徹底させた。バルセロナはその哲学を愚直に守り続け、2006年に欧州チャンピオンズリーグを制覇した。さらに2009年、2011年にも同大会で優勝、当時バルセロナを率いたグアルディオラ監督は「すべてはクライフから始まった」と感謝の言葉を口にした。

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