無理な物価上昇は、預金流出を引き起こす

政府が行うべきは金融政策ではなく、産業政策

米FRBが実施している金融緩和策は、具体的に二つ挙げられます。一つは、住宅ローン担保証券を毎月400億ドルずつ購入するというものです。これによって、住宅ローン金利が下がりやすくなります。米格付け会社S&P社が発表しているケース・シラー住宅価格指数によると、2012年初旬から住宅価格が上がりはじめており、住宅ローン金利を下がりやすくすることで、さらに住宅市況を好転させようとしているのです。これにより、住宅バブル崩壊で傷んだ家計のバランスシートの改善が図れます。

もう一つは、長期国債を毎月450億ドルずつ購入するというものです。FRBが保有している短期国債を売って長期国債を買い入れる「ツイスト・オペ」は2012年末で終了しましたが、それを引き継ぐ形で同額の長期国債を購入し続けることになりました。これも、長期金利を下げる働きをします。

このようなオペレーションによって景気を浮揚させ、雇用が改善することを目指しているのです。FRBは雇用改善の目標を失業率6.5%に設定していて、それまではQE3を続けるということです。

ただ、中央銀行が資産を持ちすぎることは好ましくありませんから、FRBは景気を浮揚させるための緊急避難的な措置として、金融緩和を行っているのです。

一方、日銀の対GDP比での資産残高は、世界中で群を抜いています。日銀が公表している「営業毎旬報告」によると、平成25年1月10日時点の資産残高は157兆9000億円、うち国債が占める額は113兆3000億円です。ちょうど3年前の平成22年1月10日時点の同報告書を見ますと、資産残高は115兆6000億円、うち国債は71兆9000億円とあります。

つまり、日銀の資産残高は、この3年間で42兆3000億円も増加しているのです。あわせて国債の増加額を計算しますと41兆4000億円ですから、資産残高の増加分のほとんどが国債であることが分かります。つまり、日銀は国債をどんどん購入してしまっているために資産が膨張し続けているのです。

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