「日本のために」「子孫のために」。立花さんが拠点とする雄勝町の人々はよくそんな言い方をする。きっとそういう志を持っている人には、生物的なエネルギーがあふれるくらい体中にしみ渡っていて、それが湧き上がる瞬間があるのだとおっしゃっていた。
その証拠に(?)、古民家で囲炉裏の前で語り合っていたとき、立花さんの周囲にはオーラのようなものが出ていたように見えた。東京で初めてお会いしたときは穏やかな人という印象だったが、怖いくらい研ぎ澄まされた雰囲気があった。それがすごく印象的だった。
ちなみに、宮坂も立花さんも「死ぬほど本を読む」という点が共通している。それだからこそ、出てきた言葉なのかもしれない。
東北には、プロデューサーが足りない
「濃密ヒアリング」では、非常にためになる話をたくさん伺うことができた。
「ネット企業であるヤフーが石巻で成功事例を作れば、それを民間の企業がまねするので、成功の“のれん分け”になる。たとえば、数十万、数百万円規模の小さな成功でも大きな意味があると思う」
被災地域における「壁新聞」で有名になった石巻日日新聞の業務取締役兼編集局長で、“東北のサムライ”のような雰囲気を持つ武内宏之さんの言葉だ。
「ありとあらゆるプロジェクトが立ち上がっているが、残念ながらどうしても“競争的復興”になってくる。復興予算は枠が決まっている。その取り合いになってくるから、早めに動く必要がある」
「『翻訳できる人』が不足している。住民とも話せて、公共性も理解して、ビジネスもわかる人。どうしてもハード面での復興に目がいきがちだが、長期的・持続的な復興にはソフト面(コミュニティ形成、ビジネスプロデュース)が重要」
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