米一流大留学がこうも「人気薄」になった理由 いつの間にか日本人の存在感はどんどん縮小
日米教育委員会のまとめには、次のような記載がある。
なるほど、中国やインドなどからの留学生数は増えているのだ。一方、日本からの留学生が漸減、その結果現地の留学生に占める日本人の割合、存在感が、ここ数年でどんどん薄くなっていったということだろう。
ではなぜ、日本人だけが極端に「アメリカの大学」を目指さなくなったのか。まず大学生について考えてみると、就職活動の影響は大きいだろう。
このところ就職活動の開始時期が頻繁に変更されるようになったうえ、企業でのインターンシップなど、実質的に採用につながる機会が時期を選ばずに広がった。そのため、休学をしてしまえば話は別だが、長期の交換留学そのものに参加することに学生が慎重になっている。
海外に目を向けるアクティブさは再燃しているものの
その分増えているのが、短期留学や海外インターンシップ、海外ボランティアなどへの参加である。グローバル人材として、よりタフで実践力の高い学生を求める会社側のニーズに応えるべく、短期でもさまざまな経験ができる方向に、留学のスタイルが多様化してきている。
また学生を送り出す大学側も、国際競争力を強化すべく、協定校の多国籍化、より実践的な海外研修の強化などを進めている(参照:文部科学省 スーパーグローバル大学創成支援)。
筆者も長年、大学でのグローバル人材教育に携わってきたが、特に2011年の東日本大震災あたりからトップ大学の学生を中心に意識が変わってきたことを実感している。海外に目を向けるアクティブさが生まれ、英語学習や研究という点以上に、就業経験や国際協力など、より自分らしい留学の形態を模索している印象だ。
無論、アメリカの大学も「アカデミック + インターンシップ」のような、従来の枠組みにとらわれない留学形態は増やしている。が、語学要件が高く、日本人には手を出しづらい現状もある。
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