米一流大留学がこうも「人気薄」になった理由

いつの間にか日本人の存在感はどんどん縮小

次に考えられるのは、アジアやヨーロッパが留学先として台頭してきたことだ。先日発表されたイギリスのタイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)による2016年アジア大学ランキングでは、3年連続で1位だった東京大学が7位に陥落。1位はシンガポール国立大学(NUS)、2位は南洋理工大学(NTU)と、シンガポールの2校の強さが光った。

シンガポールは国策として、世界から優秀な学生の受け入れを積極的に行っている。リーズナブルな費用の魅力に加え、近年需要が急増する中国語の学習環境が整っているのは大きな強みだ。

国内の大手商社ではHSK(中国語検定試験)の受験を社員に求めるところが増えており、中国語の習得がビジネスシーンでも求められるようになった。もちろんシンガポールの公用語である英語もしっかり学べるわけだから、一石二鳥である。

「アメリカMBA全盛時代」にも終わりが

またヨーロッパも、従来主流だったイギリス、フランスに加え、近年はスウェーデン、ノルウェーなど北欧留学の人気も高まっている。短期間で修了できるコースも豊富で、アメリカ一択であった昔とは打って変わって、コスパや好みを考慮して幅広い選択肢から留学先を選べるようになった。

かつてアメリカ留学の価値の「核」であった英語学習も、その形態はものすごく多様化している。現在は、「レアジョブ」のようにスカイプなどを活用したオンライン英語学習や、フィリピン留学などのリーズナブルな留学スタイルが一般化。マレーシアやシンガポールのインターナショナルスクールで幼少期からの英語教育を行う親も増えている。

ハーバード・ビジネススクールから日本人が消えてしまったという話は象徴的だが、「アメリカMBA全盛時代」からの変化も挙げられそうだ。近年は日本国内の社会人向けビジネススクールが盛況である。グロービス経営大学院のような専門職大学院が人気を集めるほか、慶應や早稲田といった日本のトップ大学でもMBAコースを開講している。

長引く不況の影響で海外留学の費用を捻出しづらいこと、そしてMBAホルダーを活かしきれない日本社会では転職活動が困難というイメージがあることから、国内でのMBA取得を目指す選択肢がより「現実的」になっている。

さて、ここまでアメリカ留学に吹き荒れる逆風について見てきた。考えられる要因はほかにもあるだろうが、さておき、筆者はこのような多様性の時代だからこそ、あえてアメリカ留学を選ぶことをオススメしたい所存だ。それには、いくつかの理由がある。

次ページより「高い壁」にチャレンジする意味
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