「みんなに好かれたい病」の呪縛から解脱せよ 自分の優先順位をいったん決めてしまう

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悩みのロスタイムをなくす

仕事も結婚相手選びも、自分で経験してみないとわからないことはたくさんあります。逆に言うと体験することによって、自分の価値観や好き嫌いが初めてわかる、ということも実は多いのだから、悩んでいないで、まず走り出すしかない。時間という資源は不可逆なので、特に、出産をしたいと思っている女性の場合には、この悩みのロスタイムをなくすことが非常に重要だと思います。

結婚する、しないにかかわらず、どこかで徹底的に自分と向き合うことは必要です。これは男女ともに必要なことだとは思うものの、出産という体のタイムリミットが埋め込まれている分、女性はキャリアの早めの段階で自分と向き合うことが必要になるわけです。

私の場合、結婚と独立が同じ頃に重なったので、自分にとって何が大事か、何を捨てたりあきらめたりできるか、ということを突き詰めて考えられ、親しい関係者たちとも話し合う機会を持つことができました。それによって、自分の価値基準が明確になり、それ以来「不特定多数の人から好かれること」は優先順位の上位ではなくなったのです。

もちろん、今すぐ達観するのは難しいかもしれません。しかしながら、これからの働く女性たちの仕事人生は長丁場です。私は、「好かれたい病」から解脱することによって初めて、「活躍する人」から「活躍し続ける人」になれるのではないかと思っています。自らの働き方を自ら定義でき、本当の意味での「自由」を獲得できるということ、それこそがワクワクキラキラ働き続けることのカギになる、ということを、ぜひ知っておいていただければと思う次第です。

(構成:長山清子、撮影:今井康一)

岡島 悦子 ヒューマンキャピタリスト、プロノバ社長

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おかじま えつこ

ヒューマンキャピタリスト、経営チーム強化コンサルタント、リーダー育成のプロ。三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー、グロービス・グループを経て、2007年プロノバ設立。丸井グループ、セプテーニ・ホールディングス、マネーフォワード、ランサーズ、ヤプリにて社外取締役。20年12月より、ユーグレナの取締役CHRO(非常勤)に就任。世界経済フォーラムから「Young Global Leaders 2007」に選出。著書に『40歳が社長になる日』(幻冬舎)他。

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