「みんなに好かれたい病」の呪縛から解脱せよ 自分の優先順位をいったん決めてしまう

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もし今の私に、妹や娘がいたら、「みんなに嫌われたっていいから、仕事で実績をつくることに専念しなさい」とアドバイスするでしょう。プロの駆け出しとして100%仕事にエネルギーを注ぐべき時期に、そんな浮ついた生活をしていたら、プロとしての基礎トレーニングの徹底も、人と差別化できるほどに専門性を磨き抜くこともできず、明らかにプロとしての価値は角のない凡庸なものとなってしまうからです。

考えてみたら「好かれたい病」の女性たちがあちこちにエネルギーを分散させている間に、男性は仕事にエネルギーを100%注いでいるわけですから、差がつくのも当たり前かもしれません。しかし当時の私には、エネルギーが分散していることに気づくだけの客観評価能力も、「人から何を言われようとかまわない」と開き直るだけのガッツもありませんでした。

「好かれたい病」に苦しめられるのは、出産後、職場復帰した女性も同じかもしれません。友人たちを見ていると、職場では、「彼女は子育てしながら働いてるけど、頑張ってるよね」と言われたくて、睡眠時間を削って頑張る。一方、義理の親や、ママ友たちからは、「彼女は仕事してるけど、ちゃんとお母さんしてるよね」と言われたくて、育児も家事も手を抜かない。それは誰かに命令されたからというわけでもなく、「みんなと同じでなければ」「完璧でなければ」という強迫観念に駆られているように見えます。

どうすれば解脱できるのか?

それでは、「好かれたい病」の呪縛から解脱するには、どうすればいいのでしょうか。それにはやはり、逆説的ですが、仕事で自分の核のようなものをつくるしかないのではないか、と思います。

「すべての人から好かれなくても、私にはこういうやりたいこと、信じられるものがあるし、わかってくれる人もいるから大丈夫」と思えるようになると、非常に楽になります。決して、自己満足やエゴイズムに陥るという話ではありません。残念な言い方かもしれませんが、人間は自己肯定感を持ちたい動物であり、自分と違う生き方や働き方の人に対しては防衛的になってしまうものではないかと思うのです。

したがって、「しょせん、世の中の全員に好かれるなんてことはありえない」と達観できるようになって、初めて仕事に対峙するプロとしての本質的なベースラインに立てる、ということなのではないかと思うのです。マズローの欲求段階説で言うところの「承認欲求」から「自己実現欲求」への昇華、ということとも言えます。

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