無料塾「八王子つばめ塾」が救う子どもたち 経済格差を教育格差にしない

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経済状況によって、意欲ある子の学習の場が奪われることがあってはならない。みんなと同じスタートラインに立つための教育費は出してあげたい、という思いで給付しています。本人が、お金のことを気にせず、安心して学習を始められるための給付です」

卒業生がバイト代で2000円の寄付

“後輩のために使ってください”。複数のアルバイトで家計を支える女子高生が参考書とともに届けた2000円の寄付金と手書きのメッセージ

小宮理事長はつばめ塾というネーミングに、「巣立っても、いつかまた帰ってきて」という思いを込めた。すでに明るい兆しがあったという。

「現在、都立高校3年生の女の子ですが、中学を卒業して3か月くらいたったころ、2000円をつばめ塾に寄付してくれたんです。自身もバイトをかけ持ちし家計に入れていた子ですから、身を切る思いで捻出してくれたのでしょう。

同封の手紙には《本当に感謝してます!!つばめ塾がもっと大きくなって、いろんなことが充実していきますように。いつか戻ってこれるといいな》と書いてありました」

開塾から1年半ほどたったころの出来事に「こんな子がうちから出てくれたんだ」と、涙を抑えられなかったという。公共施設を借りる際の費用負担などを行政に期待することもあるが、行政の力より「人の善意をもちよる」ことでつばめ塾は成功し、生徒や講師に受け入れられている。

「毎週1回、地域の『子ども食堂』から無料でパンが届きます。食堂側から声をかけていただき、配達日にはカレーやソーセージが入ったミニクロワッサンなどが1人2~3個行き渡ります。フードバンクと提携する計画もあります」

このように無料塾が子どもらのセーフティーネットにもなりつつある。極度の食糧難や、見るからに服装や持ち物で貧困がわかるわけではないという現代の子どもの貧困は、“ステルス貧困”ともいうべき非常事態。急な出費や病気になると、すぐに生活が成り立たなくなる。

教育で立ち向かうために小宮理事長は、こう呼びかける。

「もっと無料塾が増えてほしい。地域の公民館などであれば千円台でも借りられます。全国で無料塾を立ち上げる人を待っているし、全力で応援します」

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