後輩に指導をしました、でも…
「前回の連載を読みました」と、SNSでつながっている元・教え子から連絡がありました。
「先生の言葉に背中を押してもらって後輩に注意をしてみると、それをきっかけにスムーズに会話できるようになりました。さらに、仕事のことで後輩から相談を受けるようになり、注意だけではなく、最近は指導することも増えてきました。でも、職場の先輩から、私の後輩への指導は『甘すぎる』と指摘を受けたのです。そして、厳しく指導しないと、後輩のスキルが伸びないと言われたのです……」
元・教え子からのうれしい連絡だなぁと、読み進めていたのですが、途中からどうも雰囲気が変わってきました。新たな悩みが生じた連絡だったのです。
相談をくれた彼女は注意から指導へと、より踏み込んだことが言えるところまで、よい関係が築けています。今年の春に経験4年目を迎える彼女は、責任ある仕事を少しずつ任され、さらに後輩の指導も自主的にできるようになったので、きっと自分では誇らしく思っていたと思います。
ところが、そのことを褒められるどころか、職場の中堅の先輩から、後輩への指導方法そのものが不適切だと指摘されたのです。彼女が、少し悲しくなり、戸惑っている様子も感じられました。
そこで、もう少し状況を聞くために連絡をとってみると、自分が指導を受けたときは先輩方から厳しく指導されることが多く、それがとても嫌だったから、後輩にはなるべくそんな思いをさせたくない、という気持ちがあることがわかりました。
「厳しい指導をすると、きっと今の若手たちは耐えられないだろう。かといって優しくしすぎるのも、スキル向上のために問題があるだろうし、いったいどういう方法がいいのだろうか……」という、自分の経験を踏まえた、より適切な指導方法そのものの模索が、悩みの背後にあったのです。
ライバルを積極的に育てる文化
今回のお悩みのように、新人や若手への指導方法に対して、職場内で働く人たちの立場や年齢、時には性別によって、意見の対立があるという話をよく聞きます。それに対していろいろなアドバイスをする本や雑誌の記事などもありますから、本当に一般的に共有された悩みなのでしょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら