「世代間ギャップ」解消のヒントは仏教にあり

ブッダに学ぶコーチング術

そんな状態なので、「若手」世代にはどうしても不満が蓄積しやすい。特に20代〜30代の若手僧侶は(おそらく仏教界に限った話ではないと思いますが)「やりがい」を求めている人が多いと思います。日々の仕事でも「聞いてる人に意味のわからない漢文のお経ばかり読んでいて、何の意味があるんだろう」というふうに自信を失っているお坊さんが増えています。私たちの「未来の住職塾」でも、そういう方が地に足のついたポジティブマインドを取り戻していただけるよう、学びの場を作っています。

まずは「人は皆違う」から始めよう

この「世代間ギャップ」を乗り越えて、幸せな関係を創るにはどうしたらいいか?

仏教から見るならば、何よりまず「ギャップは埋めなければならない」という「とらわれ」から離れることが大切です。

私が尊敬する京都・法然院の梶田真章住職は、お話しの際によく「人はそれぞれ違いますから」とおっしゃります。それだけ聞くと、何だかちょっと突き放したような感じを受けるかもしれませんが、そうではありません。人はそれぞれ違うから、分かり合えないこともある。それが大前提であると。それでもなお、そのことを共通の出発点として対話を始めれば、自分も相手も少しずつ変わっていくし、重なり合う部分も出てくるだろう。そのような対話を通じて、人と人が共に生きるのが人生であるというのです。

人は皆、それぞれ違う。同じ物事に対しても、人間の数だけ感じ方があり、考え方がある。でも、人間に優劣はなく、それぞれがそのままで素晴らしいのだということを、金子みすゞは「みんなちがって、みんないい」と表現しています。

ヒントはインドにある

日本人の性質は、島国根性と言われますが、それは同質性が高いということでもあります。格差社会と言ってもアメリカやインドほどではないし、移民政策をとっているわけでもありません。そういう中で暮らしていると、つい「あいつはちょっと変わってる」などと言って仲間外れを作りたがるムラ社会の根性が顔を出します。「人は基本的に、皆同じ」ということを前提として始めてしまうと、その期待を裏切られるたびにショックを受けなければならず、苦しみが増してしまいます。

私が留学のためにインドに住んでいたときは、インドという国の多様性に驚きました。日本から見るとインド人は皆同じようにターバンを巻いてカレーを食べているイメージかもしれませんが、実際には同じ国の中でも、人種も違えば言葉も多様で、宗教も違います。貧富の差も激しく、経済力もバラバラです。同じインド人でも、隣に座っている人とは価値観やライフスタイルがまったく違うということもよくあります。

しかし、インド人を見ていると、わかり合えない人ばかりで孤独かといえば、まったくそんなことはありません。家族や地域コミュニティなど、共通するものが多い人同士はとても親密な関係を保ちますし、共通するものが少ない人とも、とてもきさくに話をします。おそらく、人とのかかわりにおける大前提が「人はそれぞれ、違う」なのでしょうね。だからこそ、オープンで気持ちのよい関係を作っていくことができるのです。

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