「食事だけで痩せたい人」に伝えたい落とし穴 筋肉が落ちたら醜くリバウンドしやすい体に

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過激な食事制限に比べれば、脂肪の落ちるスピードは確かにゆるやかになる。しかし筋肉量を維持するか増やすかしつつ脂肪を落とすことでしか、健康で均整のとれたスタイルのいい体は手に入らない。体脂肪が落ちて筋肉が増えると、日々のエネルギー消費量は確実に上がる。数値にすると大きな変化ではないが、それ以上の効果が期待できる。

筋肉の量が増えると、そこに栄養を供給する役割を担う内臓も同時に強くなっていく。その過程で、より多くの血液を必要とするため、血管も発達。こうして全身が強くなるのだ。結果、代謝が上がりエネルギー消費量が増えて体脂肪をエネルギー源にする力が高まる。

4分の運動で脂肪燃焼モードが数日続く

拙著『HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング』で解説している有酸素運動と筋トレ双方のメリットを享受できるような高強度の運動は、エネルギー消費をうながすミトコンドリアを増やし活性化する刺激になるため、脂肪燃焼を一気に加速させる。そのうえ加齢や活動量の低下による神経細胞の死滅で加速する、速筋の退化にも歯止めがかかる。

しかも動くのは4分なので、これからの季節なら入浴前にサッと済ませられる。運動後に何もしなくても莫大なエネルギーを消費してくれるから、忙しいビジネスパーソンにはうってつけだろう。

『HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング』(サンマーク出版)。画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

脂肪が落ちて筋肉がつくと、体は軽くなって動きやすくなる。日常生活での動作がラクになり、歩行スピードが上がって階段も難なく駆け上れるなど、自然と活動量も増す。さらに味や体調の変化にも敏感になる。塩気が多いものを食べたときに起きるわずかなむくみを感じ取れるようになり、食べすぎれば胃腸への負担がわかるようになる。

体脂肪がかなり削られてくると、ハイレベルな脂肪燃焼モードが保たれる。血管が皮膚の表面に近づき、背中を鍛えれば背中が熱く感じるなど、体脂肪に保温されていないぶん筋肉が発熱してエネルギーを消費する。ここまでくれば、多少食べても「太れない」はずだ。

始める前からあきらめればそこで終わり。だが、うまく脂肪燃焼モードの波に乗れば、落ちる気がしないような硬い皮下脂肪がやわらかくなり消えていく。いつからでも、いくらでも、やれば体は絞れるのだ。

岡田 隆 日本体育大学准教授、理学療法士

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おかだ たかし / Takashi Okada

1980年、愛知県生まれ。日本体育大学准教授。理学療法士、日本体育協会公認アスレティックトレーナー、JOC強化スタッフなど役職多数。日本体育大学大学院体育科学研究科修了。2014年東京オープンボディビル選手権大会70kg以下級優勝。トレーニング法や食事法など肉体改造に関する最新情報を世界中から集め、自らの体で試しつつ検証を重ね有効なものをトップアスリートに伝授している。「鋼鉄の肉体を誇る錬筋術師」の異名を持つ。

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