「食事だけで痩せたい人」に伝えたい落とし穴 筋肉が落ちたら醜くリバウンドしやすい体に

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数百万年とも言われる人類の歴史は、つねに飢えとの闘いだった。日本が「飽食の時代」に突入したのはわずか40~50年前。当然、われわれの体は飢餓対応モードのままなので、たくさん食べればそれだけ使わないエネルギーは脂肪としてため込まれる。脂肪は、いつ危機に直面しても生き残れるように貯蔵庫の役割を担っているのだ。

現代社会ではやっかい者とされがちだが、ため込む性能は圧倒的に優秀。脂肪とともにエネルギー源となる糖は、筋肉が大きい人ほど多く蓄えられるもののだいたい400g前後、すなわち1600kcalと限界がある。だが体内に15kgの脂肪を蓄えていれば、そのエネルギー量は、驚くなかれ14万1000kcal。これはフルマラソンを47回走れるエネルギーに相当し、ちょっとやそっとでは使いきれない。

しかし交通や通信網が発達し、体をほぼ動かさずとも生活できる現代社会では、脂肪細胞に貯蔵されたエネルギーどころか、その日食べたもののエネルギーさえ使いきるのが難しい。運動習慣がないのに消費する以上食べていたら、余ったエネルギーはせっせと脂肪細胞にストックされる。太り続けるのも当然だ。

体に脂肪が蓄積されていく過程

あらためて体に脂肪が蓄積されていく過程について説明しよう。食べたものは、胃や腸などの消化器官で消化・分解される。そこで得られた栄養分は酸素とともに血液に乗って全身を駆け巡り、体の組織やホルモンの材料になったり筋肉を動かすためのエネルギーになったりする。

このエネルギーを、筋肉だけでなく脂肪もキャッチする。使われなかったエネルギーは脂肪細胞という貯蔵庫に中性脂肪としてストックされ、筋肉や臓器に一時保存された糖が不足すると分解されて使われる。しかし糖でこと足りるうちは、ひたすら貯蔵。それが、いつものベルトを短く感じさせる腹の肉になっていく。

恐ろしいことに、脂肪細胞は限界までふくらむと“増殖”というステージに進む。脂肪を蓄える「容器」が増えるのだ。たとえば最初は9個だった脂肪細胞が、限界までふくらんで数が増えたとする。「容器」が増えれば、当然もっとため込めるようになる。「太ってきたけれど、まだ大丈夫」などと思っていると脂肪細胞が増え続け、気づいたときは肥満街道まっしぐらというワケだ。

やっかいだが太りやすさは加齢によっても加速する。

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