リオへ行かなくても絶対必要な「感染症対策」 性行為で感染するジカウイルスはどう防ぐ

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デング熱は、ワクチンが開発されて海外では承認されたが、日本ではまだの状態。ジカ熱に対するワクチンは、今のところない。

「蚊に刺されやすいのは、公園やゴルフ場など、自然の豊かな場所だけではありません。工事現場のブルーシートにたまった水たまりでも、蚊は繁殖します。つまり、都市部でも安心してはいけないのです。外出するときには、虫よけを心掛け、ジカ熱は性行為でも他人へ感染を広げることを忘れないでいただきたいと思います」

感染症の拡大を防ぐ8つの心掛け

濱田教授に、デング熱やジカ熱などの感染症予防の心得を教えてもらった。

(1)渡航先の感染症の流行情報はネットなどを活用して事前に把握する。

(2)必要なワクチンはあらかじめ接種しておく。リオへ行く場合は、A型肝炎、破傷風、黄熱のワクチン接種がお勧め。また、南半球は冬季を迎えインフルエンザが流行するため、季節性のインフルエンザワクチン接種も役立つ。

(3)渡航の有無に関わらず虫よけ剤を日常的に活用し、蚊に刺されないようにする。

(4)肌につける虫よけ剤の成分として、医学的なエビデンスを持つのは、ディート、イカリジン、ユーカリの3つの成分。これらを活用した虫よけ剤を製品使用上の注意書きを確認し、適切に使用する。

(5)肌につける虫よけ剤は、日焼け止めや化粧の上から塗るようにする。

(6)ジカ熱流行地から帰国後は、約8週間は性行為をしない。パートナーが妊娠中の場合、妊娠期間中は性行為を避ける。

(7)帰国後に体調が優れないときには、医療機関へ渡航歴を伝えて受診する。

(8)デング熱やジカ熱と診断されたならば、蚊に刺されないようにするのはもとより、外出は避ける。

「私は、企業の社会的責任(CSR)に基づく感染症予防のセミナーで、講師として招かれることが多いのですが、個人の方々も、周囲の人に感染症を広げないといった社会的責任を意識することが大切だと思っています」と濱田教授は語る。

感染症に注意しながら夏を楽しもう!

安達 純子 医療ジャーナリスト

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あだち じゅんこ / Junko Adachi

東京生まれ。医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業のOLから転身。フリーランスの雑誌記者としてさまざまなジャンルの取材を行う中で、病気の発生メカニズムに興味を持ち、医療関係の記事の執筆に比重を置くようになった。現在は、先進医療といった最新の医療状況をはじめ、免疫疾患や感染症などに強い関心を持つ一方で、生活習慣病といった身近な病気を対象とした記事を数多く新聞等で連載中。身体に個人差がある中で、その人にとっての健康とはなにか。病気の仕組みはどこまで解明できるのか。また、未知の病気の正体はどこにあるのかなどをテーマに現在取材を進めている。

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