当然のことながら、蚊を媒介とする感染症から身を守るには、虫よけ剤が役に立つ。日本製の虫よけ剤の成分は、「ディート」と今年新たに薬事承認された「イカリジン」がある。ただし、海外製品と比べると成分濃度は低い。そのため、今年6月には、厚労省が「ディート」30%製剤と「イカリジン」15%製剤の製造販売承認に対し、「迅速審査」を行うことを各都道府県に通知した。これらの製品が登場すると、国内でも海外製品並みの濃度の虫よけ剤の入手が可能となる。
「海外に行かれる方はもちろん、国内でも蚊に刺されないようにすることが必要です。外出するときには、肌に虫よけ剤をつけ、部屋の中でも電気蚊取のような虫よけ剤を使用するとよいでしょう。また、植木鉢の受け皿や放置したペットボトルにたまった水など、少しの水たまりで蚊は繁殖します。小さな水たまりを放置しないことも、蚊を駆除するのには有効です」(濱田教授)
デング熱など蚊を媒介とする感染症は、蚊を駆除することで感染予防につながる。ところが、ジカ熱は、この法則だけでは太刀打ちできない別の側面を持つ。性行為による感染経路だ。流行地から帰国した男性が性行為を行い、結果としてパートナーがジカ熱に感染したケースが各国で報告されている。
外出するときは虫よけ対策を
「ジカウイルスは、男性の精液に入り込み、性行為によって人から人へ感染することがわかっています。もともと蚊を媒介していたジカウイルスが、感染経路を広げたと考えられるのです。国立感染症研究所のリスクアセスメントでは、ジカ熱の症状の有無に関わらず流行地から帰国・入国した男性は、少なくとも約8週間は性行為を控えるか、コンドームを使用することが望ましいとしています」(同)
デング熱は、蚊を媒介しないと人へは感染しないが、ジカ熱は性行為でも感染する。しかも、ジカウイルスに感染したおよそ8割の人は、症状が出ないとの報告があった。そのすべての男性の精液に、ジカウイルスが混じっているわけではないが、予防の観点からすれば、流行地から帰国後の性行為には注意が必要と言える。
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