8月5日に開会式を迎えるリオデジャネイロ五輪だが、男子ゴルフの松山英樹選手が出場を辞退するなど、ジカ熱の流行がトップアスリートへ影を落としている。ジカ熱は、ジカウイルスが主に蚊を媒介として人に感染し、発熱、頭痛、筋肉痛などの風邪のような症状に加え、皮膚の発疹を伴う。妊娠中の人が感染すると、小頭症といった先天的異常が胎児に起こるリスクがあることは、周知のことだろう。ジカ熱対策は不可欠なことだが、「リオへは行かないから関係ない」と言えないのが、感染症の恐ろしいところだ。
「リオでのジカ熱の流行はピークを過ぎたと報告されています。しかし、中南米やカリブ地域など47カ国では、依然として流行が続くと見られています。中南米には、ブラジルとアルゼンチンのイグアスの滝、ボリビアのウユニ塩湖などの観光スポットといった世界遺産がたくさんあり、そういった地域でもジカウイルスに感染するリスクがあります。日本でも、渡航者がジカ熱を発症した報告が約10例ありました。ジカウイルスを媒介できる蚊は、日本にも生息しています。海外で感染しない、持ち込まない、それがますます重要になっているのです」
こう東京医科大学病院渡航者医療センターの濱田篤郎教授は警鐘を鳴らす。
海外並み濃度の虫よけ剤が承認の動き
ジカ熱と同じ蚊を媒介とするデング熱は、2014年に日本で海外渡航歴のない人が発症し、約70年ぶりに国内感染が起こった。国内に持ち込まれたウイルスが、蚊を介してほかの人へ感染したのだ。知らぬ間に日本に入ってきたウイルスで、渡航してなくても感染する状況が、今年も起こりえる。
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