中国はコンテンツの墓場、日本の漫画も苦戦中

中国の出版市場で何が起きているのか(下)

こんな状況なのに、北京政府は、漫画、本、アニメ、音楽など、娯楽や芸術を提供する産業を育成して「文化強国」を目指そうとしている。12年10月の共産党大会で、習近平氏に総書記をバトンタッチする際のスピーチで、胡錦濤氏はこう述べている。

「文化産業を大いに繁栄、発展させ、社会と経済の利益に貢献させる」

ちなみに習近平氏は、2011年10月の6中全会以来、一貫して文化の分野の責任者を務めてきている。

外国文化を受け入れないという文化鎖国を続けていながら、「文化強国」を目指すもないと思うが、中国は本気だ。上海ではアメリカのエンターテインメント企業ドリームワークスを誘致し、人気アニメ映画『カンフーパンダ3』などを制作することを発表している。また、江蘇省の無錫市はデジタル映画を制作する企業を集め、勝手にハリウッドならぬ「華(ホワ)リウッド」と銘打っている。

カネだけでは文化は育たない

しかし、海賊版が横行し、パクリが日常化している国で文化産業が育つだろうか?

「正規版が受け入れられないから、海賊版ばかり横行する。海賊版ばかり見ていたら、つくり手は育たない。文化は育たない」と北京で文化コンテンツ産業にかかわっている日本企業は、JETRO(日本貿易振興機構)のバックアップを受けて、去年から中国側に働きかけている。

しかし、日中関係は冷え込み、この先のことはますます不透明だ。正月早々に起こった『南方週報』の言論統制事件を見てもわかるように、この国には言論の自由、出版の自由は存在しない。そのような自由が存在しない国で、はたして文化が育つだろうか?

長年、中国とのメディア交流に関わってきた私の知人はこう言い切る。

「中国が文化発展しないのは、文化発展に必要な二つの要素である潤沢な資金・自由な表現のうち、後者を欠いているからでしょう」

いかに金持ちになろうとも、今のままでは、中国が「世界のコンテンツの墓場」であり続けることは、間違いないだろう。

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