中国はコンテンツの墓場、日本の漫画も苦戦中

中国の出版市場で何が起きているのか(下)

電子書籍も専用端末も売れない

紙出版が低迷しているのなら、その分、電子はいいのではないか、と考える人もいるかもしれない。しかし、中国では電子書籍も壊滅状態である。海賊版が横行し、正規版におカネを払うユーザーがいないからだ。

中国のネット人口は、すでに5億人を超え、中国社会科学学術出版社が12年10月に発表した報告によると、15年までに8億人に達するという。

ネット文化を「フリーミアム文化」(無料コンテンツが中心の文化)というが、中国ほどこの文化が進んだ国はない。世界中のどんなコンテンツでも、発売された翌日にはネットのどこかでタダで存在しているのだ。

これでは、アメリカで「キンドル」が売れたようなことは起こらない。中国でも電子書籍専用端末が発売されているが、いずれも売れていない。中国で電子書籍専用端末といえば「漢王」(Hanvon)か「盛大」(Bamboo)だが、シェアナンバーワンの「漢王」は会社が四半期ベースで6期連続の赤字となっている。この「漢王」と日本のクリーク&リバー社が提携し、これまで日本の漫画70作品が電子配信されてきたが、苦戦しているようだ。

中国の英字ニュースサイト「Danwei.com」に掲載された、英ペンギン・中国支社のジョー・ラスビー氏のインタビューによると、中国国内では現在約10社の端末メーカーと20種類の電子書籍フォーマットが入り乱れており、端末は全国で1日当たり2500台程度しか売れていないという。

出版点数が当局によって決められているので、タイトル数は増えない。そのうえ、海賊版天国で、誰も正規版におカネを払おうとしない。「もう中国ではコンテンツに課金するのをあきらめるしかない」と言う人間までいる。これでは、電子出版が進むわけがない。

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