二極化する中央ヨーロッパ諸国の銀行

スロベニアなど3カ国に大きな課題

ハンガリーの位置付けは独特である。貸出残高の対GDP比率は08年の64%から11年までに56%に減少し、110%というオーストリアをはるかに下回っている。

同国では銀行の貸し出し行動の縮小の背景には投資の冷え込み、倒産と失業率の増加という経済環境の悪化と、10年に導入された特別な銀行税の負担がある。また金融業界への信頼度が近年低下しつつあるうえ、潜在的な借り手の質も低下している。貸し出し活動の縮小は、信用供給と需要の両側から生じた要因の結果である。さらに、外貨建て住宅ローンの一括繰り上げ返済も、貸出残高の対GDP比率を減少させていたと言える。

一括繰り上げ返済は、ハンガリー固有の経済措置である。ハンガリー国会は11年9月19日、スイスフラン、ユーロと円建ての家計債務(住宅ローン)を大幅に優遇した固定為替レートで一括繰り上げ返済することを可能にする法案を可決した。

この法律によって100万件を超える外貨建て信用契約のうち、17万件は定められた期間内(11年9月29~12年2月28日)に優遇された(市場レートを約25%下回る)為替レートで早期に返済された。この返済は、銀行業界に3350億フォリント(1フォリント=約0.40円)の損失を与えたが、そのうちハンガリー政府は1150億フォリントを銀行に賠償した。

2つのグループに分かれる預貸率

中央ヨーロッパ諸国の預貸率は国ごとに異なり、明確に2つのグループに分かれる。オーストリアを別とすれば、預貸率110%を上回っていた全ての国は、08年から預貸率を減少させた。

預貸率の低下は、中央ヨーロッパ諸国の外部ショックによる信用リスクを抑えた。すなわち08年の危機発生時よりも、外部資金への依存度を減少させたと言える。

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