二極化する中央ヨーロッパ諸国の銀行 スロベニアなど3カ国に大きな課題

拡大
縮小

対照的にハンガリーの銀行は、危機が勃発した後に外貨建てローンの貸出金利がCDSプレミアムを超える程度の利子引き上げで新しい状況に対応した。この結果、ハンガリーの外貨建てローンの借り手は、フォリント安だけでなく、高い貸出金利による負担増も強いられた。

銀行のための行動規範導入(10年)のみが、ハンガリーの銀行に外貨調達のコストの変化を上回る負担を、顧客に負わせることを禁じた。一方、ポーランドでは不良債権比率の安定に、貸出残高の増加と経済成長も貢献したと言える。

ブルガリア、ルーマニアとハンガリーでは外貨建てローン貸出残高が総貸出残高に示す割合は、11年時点で60%と同様であった。ブルガリア、ルーマニアはユーロでの貸し出しが支配的であったのに対して、ハンガリーではスイスフランによる貸し出しが最も多かった。

ブルガリアはカレンシーボード制であり、従って為替レートがユーロ建てローンの返済に影響しなかった。しかしながら、ブルガリアの貸出残高は減少し、失業率が大幅に上昇したため、不良債権比率に負の影響を与えた。

 

 

また、ルーマニアでは失業率は緩やかに上昇し、貸し出しは増えたが、現地通貨の下落が毎月の返済額の上昇の引き金となり、焦げ付いた外貨建てローンが不良債権比率を増やす一方、不良債権比率は毎年悪化していると言える(上図表)。

次ページルーマニアなどで不良債権比率は悪化
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT