二極化する中央ヨーロッパ諸国の銀行 スロベニアなど3カ国に大きな課題

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ブルガリアは預貸率をオーストリアの金融当局(FMA)が提案した目安の110%以下の水準に縮小した。他の高い預貸率を持つ国、スロベニアなどは11年でも110%を上回り続けた。ハンガリーが一人当たりGDPの成長とともに預貸率が下がった一方、スロベニアでは一人当たりGDPの下落とともに預貸率が減少した。

預貸率が110%以下の国では、スロバキアで明らかに預貸率が上昇した。チェコとポーランドでは預貸率が下がり、ポーランドは110%水準から遠ざかったと言える。リーマンショック以前に預貸率が高い国では有意な低下が行われた一方、預貸率が低い方であった国の場合、低下は小規模(5パーセント以下)であった。ハンガリーを除けば、各国は11年に08年より多くの預金を集め、預金残高の増加は預貸率を低下させたと言える。

ハンガリー政府は国内貯蓄からのさらなる融資で財政赤字を融資したい意向なので、政府と銀行の間に貯金獲得の競争が見られる。本年中に個人保有国債の残高は倍増し、12年11月現在、9247億フォリントに達している。

ハンガリーで銀行貸出残高は、政府が打ち出した外貨建て住宅ローン一括繰り上げ返済の結果減り、預貸率がより縮小したものの、外貨建て住宅ローンの一括繰り上げ返済は預貸率の推移に複雑な影響を与えた。預金引き下ろしと新規貸出で一括繰り上げ返済が行われた場合、一括繰り上げ返済は預貸率の縮小を和らげたが、外貨建て住宅ローンの一括繰り上げ返済は、最終的に預貸率を引き下げたと言える。

不良債権比率にも差

不良債権比率の変化も中東欧諸国で明確に異なっている。国々は預貸率のように2つのグループに分けられる。貸出残高が増えている国々では、銀行の活発な貸出行動は、不良債権比率にプラスの効果を与えている(不良債権比率の安定に役立っている)。

なぜなら、新規貸出はしばらく(すかなくとも90日間)は不良債権とならないためである。ポーランド、チェコとスロバキアの場合、不良債権比率は近年安定したが、ハンガリー、スロベニア、ブルガリアとルーマニアではそうではなかった。後者の国々では07年から11年にかけ、毎年不良債権比率は上がる一方であった。この相違の背景は各国ごとにはっきり異なる。

不良債権比率の低い国々を見ると、チェコは低金利環境のため、外貨建てローンの貸し出しを行っていない。スロバキアは09年にユーロを導入したため、外貨建てローンの貸し出しが流行らなかった。スロベニアもユーロ圏の国であり、スイスフランの貸し出しは広がりを見せなかった。従って、外貨建てローンの貸し倒れは不良債権比率上昇の原因ではなかった。むしろ貸出残高の減少、GDPの低下、失業率の増加、不動産バブルの崩壊により、年々債権ポートフォーリオの質が悪化し、不良債権比率は上昇した。

ルーマニア、ポーランド、ハンガリーでは外貨建て貸し出しに数年間人気があった。リーマンショックによる自国通貨価値の下落で、外貨建てローンの月々の返済額が大幅に増加した。また、ハンガリーとポーランドの銀行の対応には大きな違いがあった。リーマンショック後、主要通貨の金利(スイスフランLIBOR、EURIBOR)は国際金融市場で低下したが、ハンガリーの銀行はこの金利低下を貸出金利に反映させなかった。しかしながらポーランドでは、銀行は外貨建てローンの貸出金利を引き下げ、毎月の返済額の増加を抑えた。

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