二極化する中央ヨーロッパ諸国の銀行 スロベニアなど3カ国に大きな課題

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ハンガリーでも失業率は上昇し、銀行貸出残高は減少した。スイスフランでの貸し出しが中央ヨーロッパ諸国の中では最も広がったこともあり、、スイスフラン高騰が明らかに不良債権比率を上昇させた。さらに、ハンガリーでは外貨建て住宅ローンの一括繰り上げ返済が不良債権比率を増加させた。外貨建て住宅ローンの一括繰り上げ返済スキームに参加した顧客のローンは良い債権ポートフォーリオから消えたため、ハンガリーの銀行セクターは中央ヨーロッパでは最も高い不良債権比率を持つようになった。

利益も「二極化」

こうした結果、中東欧諸国の銀行の利益性指標は大きく異なり、国々は預貸率と不良債権の分析で見られたように2つのグループに分かれる。ROEは第1グループ(ハンガリー、スロベニア、ブルガリアとルーマニア)では08年から継続的に悪化してきた。

一方、第2グループ(ポーランド、チェコとスロバキア)は07年の水準である20~25%から15~20%へと、微減にとどまっている。11年までに第1グループの利益侵食は危機発生以来のトレンドとなり、ハンガリー、スロベニアとルーマニアのROEはマイナスとなった。

不良債権比率が安定した国(ポーランド、チェコ、スロバキア)はROEも安定しているが、対照的にハンガリー、スロベニア、ブルガリアとルーマニアでは不良債権比率の上昇が利益性指標の悪化につながっていると言える。

ハンガリーでは外貨建て住宅ローンの一括繰り上げ返済と特別な銀行税という国固有の要因で銀行の利益性は悪化している。それにもかかわらず、11年に利益性がこの地域で最も悪いのはハンガリーの銀行セクターではなく(ROE: マイナス1.7%、ROA: マイナス0.2%)、スロベニアの銀行セクターであった(ROE: マイナス11.7%、ROA: マイナス1%)。

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