日本人が知らない「男の更年期」の恐怖 「うつかな?」と思ったらコレを疑え!

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――男性にも更年期障害があったのですね。

男性ホルモン、主にテストステロンというホルモンですが、40歳を過ぎると徐々にこのホルモンが少なくなってきます。

あまり大きく減ってしまうと、元気がなくなって気分が落ちこんだり、イライラしたり、朝起きられなかったり、不眠になったりします。身体面でものぼせたり、汗が出たり、冷え性になったりと、さまざまな健康障害が起こります。

これこそが「男性の更年期障害」なのです。更年期障害というと、なんとなく「女性特有のもの」と受け取られがちですが、実は男性にもあるのです。そればかりか、女性以上に深刻であるともいえます。

テストステロンが減少して男性更年期症状が出る病気を、医学的には「LOH(ロー)症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼びます。このLOH症候群が、いま、日本人男性に急増しているのです。

男性更年期障害は女性より深刻

堀江 重郎(ほりえ しげお)/順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科外科教授。泌尿器科医。医学博士。日本Men's Health医学会理事長。1960年生まれ。85年東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、泌尿器がんの根治手術と男性医学を専門とする。すべての男性を元気にする医学を研究している。 一般向けの著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館)、『ヤル気が出る!最強の男性医療』(文藝春秋)などがある(撮影:梅谷秀司)

――女性以上に深刻とは、どういうことなのでしょうか?

よく知られているように女性の更年期障害は、一般的に40代後半から50代で、のぼせ、多汗、動悸、立ちくらみなどの症状を訴える人が多いようです。イライラや不安感、ヤル気が出ないといった精神症状を訴える方もいらっしゃいます。

でも、女性の更年期障害は、閉経の前後5年以内の一過性のできごとです。程度の差はあるものの、どの女性も通過する症状です。年をとるにつれて治まります。

しかし、男性の更年期障害は、テストステロンなど男性ホルモンの減少に伴う病気です。じっとしていてもよくならず、正しい対処をとらなければ、一生続くこともあるのです

――なぜ、男性更年期はあまり知られていないのでしょうか?

男性ホルモン不足というと、男性機能の低下に結びつけて考えられることが多く、そのことが男性更年期についての啓発を遅らせた面があると思います。

「男性ホルモンの治療」というと、「精力増強」と思い込んでいる人も多く、うつ症状と結びつけられることはまれです。そうしたことが、男性更年期についての正しい知識の普及を遅らせているひとつの原因だと思います。

たしかに、男性ホルモンであるテストステロンの不足は、男性機能の低下とも大きく関係しています。しかし、大多数の男性、特にビジネスマンにとっては、さまざまな精神症状のほうがより深刻な問題なのではないでしょうか。

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