完成披露試写会の舞台あいさつで竹内さんが「さみしい」と言っていました。玲子や菊田、姫川班の人たちとか、ガンテツなんかに会えないと思うと、僕らもさみしいですよ。でも宇梶剛士さんが「そういう『さみしい』って内側から思えるような作品に出会えたんだから。それに感謝しようよ」と言っていて。「もう良いこと言うな!」って思いましたよ(笑)。そんな幸せな作品だったんですね、きっと。
臨場感は絵ではなく音で作る
――そもそも原作の誉田哲也さんは、松嶋菜々子をイメージして姫川玲子というキャラクターを作り上げたと公言しています。それが竹内さんになったのはどういった経緯だったのでしょうか?
最初に成河広明プロデューサーが、この原作をやりたいと思った時に、この姫川玲子の持つ強さと弱さを表現できるのは竹内さんしかいないと思ったらしいです。こういったキャラクターを演じる竹内さんは今まで見たことないから見てみたいということで、オファーを出して。竹内さんもちょうど違う役に意識が向かっていた時期だったんでしょうね。そういうタイミングがうまく合って、やってもらった。もう今となっては姫川玲子といえば、もう竹内結子さん以外では考えられませんよね。
――映画の中でお気に入りのシーンはありますか?
もちろん全シーン好きですが、例えば菊田(西島秀俊)と牧田(大沢たかお)が姫川をめぐって対峙するシーンなんかはすごく良かった。あそこは雨音が、その場の臨場感を盛り上げてくれたということもあるんですが。
今回は雨音にこだわったんですよ。音響効果のスタッフが、雨の音をたくさん録ってきてくれたんで、それをいろんなシーンに合わせて、バランスを変えながら使っています。
雨音って普段でもあんまり意識しないのですが、映画館で観るとサラウンド効果なんかもあって、その場の臨場感が違うんですよ。菊田と牧田が対峙する緊張感あふれるシーンでは、お客さんがドキドキすると思うんです。もちろん芝居がものすごくいいんですけど、そのドキドキ感が雨の音で倍増される。サーッという雨音の合間に、時々「ピチャ。ピチャ」と。たまりに落ちる音をわざと立ててもらったりして。そういうので静寂を表したりして。音で芝居をさらに膨らませるというか。そういう臨場感のための音がやれたのは面白かったですね。
あと、玲子の傘に当たる音も、全部のシーンで微妙に変えています。臨場感はやっぱり絵じゃなくて音で作っていくんだなと、改めて思いましたね。
(撮影:谷川 真紀子)
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