「都合よく解釈する人」は、なぜ成功するのか 期待を超える成果を出すための3ステップ
銀行に勤めるあるマネジャーは、資金繰りに奔走し、その成否で天と地の変化を生き抜く中小企業の経営者たちと接する中で「自身は顧客のために何ができるのか」を自問自答した。そうしながら「顧客の立場に立てる銀行員になりたい」と強く感じる自分を『自己認識』した。
しかし、社内には自社の論理が存在し、「顧客のために」というお題目には誰もが賛同するものの、実質的に行動とリンクさせるのは容易ではなかった。そんな折「これからの銀行のあり方を提示するのは、多くの顧客の状況を細かく見てきた自分だからこそできることだ」と『都合のよい解釈』をし、さらに知見を深められるように、営業の現場のみならず、間接部門での経験も進んで買って出ることにした。
持ち前の明るさと人当たりの良さで社内ネットワークを広げ、社内の多くの人との議論を重ねながら活躍のフィールドを広げたこのマネジャーは、「融資の可否のみならず、顧客のビジネスの成功をサポートできなくては意味がない。これからの銀行は顧客とともに発展していかなくてはいけない」との『持論』を強くしている。
通販会社で部長を務めるマネジャーは、親会社から来る上層部を除くプロパー社員のトップとして、現場と上層部の間に立って事業のかじ取りをしている。そこで働く仲間とともにもっと事業を大きくしたいとの想いを強く抱く一方、親会社から来た上層部の危機感のなさとのギャップを『自己認識』し、「このままでは先がなくなる」と感じていた。
通販事業はインターネット普及からモバイルの台頭、ポイント提携や顧客管理のIT化などで大きな地殻変動が起こっており、親会社頼みではないチャネル開拓や商品開発強化など課題が山積みの中、自社の売上が大きく落ち込む事態が発生した。懸念が現実化するのを目の当たりにし、「後がなくなる」と腹をくくり、上層部へ提案を上げた。
「プロパー社員として事業を熟知している自分に見えているものこそが答えであり、自分が動かないのは会社や仲間を裏切る行為だ」との『都合のいい解釈』がその裏にあった。たたき上げ社員として「なんとかできる」との自信もあった。その熱意は上層部からも大いに歓迎され、組織改編とともにいくつかのパイロットが始動している。
このことはこのマネジャーに「強い想いがあればだれでもリーダーシップを発揮でき、誰もがそうなるくらいでないと自社の置かれた難局は乗り越えられない」との『持論』を抱かせ、後進の育成にも力が入っている。
自己変革は1日にして成らず
「自己変革は1日にして成らず」だ。
大切なのは、日々の実践の中から「自分らしい」リーダーシップをつくりあげていくことだが、他人の実践例や基本の型を理解することは、その確立に大いに役立つだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら