ますます”リア充化”するインターネット PCからモバイルへ、猫から犬へ

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非リアが安心できたインターネットはもう、過去のものになりつつある。なぜなんだ。なぜこうなってしまったんだ。

ネットは非リアのものだった、のに

議論の前提として、非リアとリア充の具体的なイメージを、筆者の具体例とともに、多少恨みがましく説明したい。

リア充のイメージはこんな感じだ。学生時代、部活で仲間たちと汗を流したり涙し、何かの賞を取って朝礼で表彰され、バレンタインやクリスマスに告白したりされたりし、文化祭の最後に手をつないでマイムマイムを踊って涙し、“好きなもん同士”でグループ分けすると引っ張りだこ……。「タッチ」など王道の少年・少女漫画に描かれる、ザ・青春、という感じ。いいなぁ……。

そんな青春、筆者にはなかった。中高時代、暇があればアニメのイラストを描き、毎月「アニメージュ」と「アニメディア」と「Out」(※全部アニメ雑誌です)を買い込み、声優のラジオ番組にはがきを送っていた筆者。授業中にもイラストを描き、好きなもん同士でグループ分けすると毎回、最後まで残った余り同士の寄せ集めグループに入っていた筆者。ちなみに部活は漫画研究部だった。

そんな非リアの筆者でも、インターネットでならたくさんの人と話せたし、仲間を見つけることができた。ネットは基本的にテキストベースで、相手の顔を見て話す必要がないから、会話力のつたなさや服装のダサさを気にする必要がなかった。リア充たちが繰り広げる流行りのテレビ番組の話題について行けなくても、マニアックな趣味について語り合える同士が、ネットのどこかにいた。

2000年代初めまでのインターネットは非リアの楽園だった。教室のすみっこにいて、リア充から「おとなしい人」とか「気持ち悪い」とすら言われていた非リアたちは、家に帰ってパソコンを立ち上げさえすれば、ホームページでのびのびと自らを語ったり、掲示板のコメントを返したりでき、ネットの向こうの見知らぬ人と文字でコミュニケーションできた。電話は怖くても、メールならいくらでも語れた。

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